【緊急取材】新型コロナウイルス感染症は犬や猫もかかるのか?~獣医師に聞いた注意点~

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【ペットと一緒に vol.186】by 臼井京音

【緊急取材】新型コロナウイルス感染症は犬や猫もかかるのか?~獣医師に聞いた注意点~

ニッポン放送「ペットと一緒に」

新型コロナウイルスは、人間から犬や猫にうつることはあるのでしょうか? また逆に、犬や猫が感染して、それが飼い主にうつることはあるのでしょうか?

獣医師に聞くとともに、ペットとの生活における感染症対策も紹介します。

 

コロナウイルス自体は、犬や猫もかかる

コロナウイルス自体は、何万年も前から存在し、さまざまな哺乳類や鳥類や魚類などに感染しています。私たち人間の風邪の原因のひとつにも、新型ではないコロナウイルスの関連があります。

犬に感染するのはイヌ・コロナウイルスで、成犬では軽度の胃腸炎で済むケースが多いのですが、子犬が感染すると軟便や下痢、嘔吐などの症状が出やすいことで知られています。

イヌ・パルボウイルスなどとの混合感染で重症化し、脱水症状などを起こして命を落とす子犬もめずらしくありません。

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犬コロナウイルス感染症はワクチンで予防が可能

猫が感染するのは、ネコ・コロナウイルス。猫伝染性腹膜炎の原因となるコロナウイルスです。

ちなみに、猫に鼻水やくしゃみ、目の結膜炎の症状を起こさせるのは、ヘルペスウイルスです。ヒトの風邪症状に似ているので、このヘルペスウイルスの感染症は“猫風邪”とも呼ばれています。

もし愛猫が呼吸器症状を起こしたとしても、猫風邪である確率が高いので、新型コロナウイルスの感染と間違えないようにしましょう。また、猫風邪を引き起こすヘルペスウイルスは、ヒトには感染しません。

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猫に感染するウイルスも多くあります

犬や猫のコロナウイルスには有効な薬はないため、対症療法で治療を行います。

 

人と動物の共通感染症が数多く存在

犬、猫、アライグマ、コウモリ、ジャッカルなどでの感染があり、毎年世界で何万人もが死亡している狂犬病をはじめ、保菌ネズミの尿を介して感染するレプトスピラ感染症など、人と動物の共通感染症は複数存在します。

マダニが媒介する細菌のスピロヘータが原因でかかるのは、歌手のジャスティン・ビーバー氏も苦しんだライム病。ヒトからヒト、犬から犬、犬からヒトなどへの感染はなく、スピロヘータを持つマダニに咬まれることでしか感染は起こりません。

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「ボクたちとママやパパに共通する感染症もあるから、知っておいてね」

このように、人獣共通感染症は多数存在しますが、コロナウイルスは種を超えて伝染しにくい「種特異性」が高いウイルスです。

イヌ・コロナウイルスやネコ・コロナウイルスは、アルファコロナウイルスのグループに属します。新型コロナウイルス(SARS-CoV2)は、ベータコロナウイルスに属します。現在のところ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がヒト以外の動物で発症したという報告はありません。

けれども、種を超えて伝染したコロナウイルスの存在もわかっています。確率は非常に低いと考えられていますが、今後、新型コロナウイルスが絶対にヒトから犬や猫に感染しないとは言い切れません。

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ペットの感染症予防も大切です

ペットと暮らす上で注意すべきこと

ペット自身がヒトから新型コロナウイルスに感染することは、まずないでしょう。けれども、犬にキスをした感染者がいたとすると、同じ犬に顔を舐められたりした人に感染が拡がる危険性はあります。

また、人の髪の毛に付着した飛沫が手につき、ウイルスに感染するケースが少なくないことが指摘されています。ペットの被毛にも、感染者のくしゃみや咳で新型コロナウイルスが付着する可能性もあるでしょう。そのペットと同じベッドで飼い主が寝ることなどで、新型コロナウイルスの人への感染が起こらないとも限りません。

消毒スプレーを直接ペットに噴霧したり、毎日ペットのシャンプーをするのは困難です。花粉症の飼い主が行っている対策と同様に、ナイロン素材の洋服を愛犬に着せて散歩に行き、帰宅したら玄関前で脱がせた洋服を消毒するのは感染予防策のひとつになるでしょう。

人が多く集まる場所には、新型コロナウイルスの感染予防のためにペットを伴わないほうが安心だとも言えます。

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「散歩中は、シャカシャカ素材の洋服をボクたちに着せて新型コロナウイルス感染症を予防するのもアリみたいだよ」

もし新型コロナウイルスに飼い主が感染してしまったら、ペットとの濃厚接触は避けてください。新型コロナウイルスには、明らかになっていない部分がたくさんあります。ペットの健康を守るために、念のため注意しましょう。

また、飼い主が入院をすることになった場合、信頼できる場所にペットを預けるのがベストです。自宅を訪問しての世話を友人やペットシッターなどに依頼すると、訪問者が自宅に残留している新型コロナウイルスに感染するリスクが高まるからです。

その名のとおり、新型で未知のウイルスである新型コロナウイルスに関しては、今後は世界的に研究が進み、ヒト以外の動物への感染の有無なども明らかになって来るでしょう。現時点(2020年2月29日)での獣医師による考察とアドバイスを参考にしつつ、新しい情報のアップデートにも努めてください。

 

【取材した獣医師】
ペットスペース&アニマルクリニックまりも 院長・箱崎加奈子獣医師

※参考:
・北海道獣医師会
http://www.hokkaido-juishikai.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/53d1dea4e325ec44623ec576f80df981.pdf

・カリフォルニア大学(デイビスキャンパス)
https://www.vetmed.ucdavis.edu/news/can-pets-contract-coronavirus-humans-or-vice-versa

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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