【ライター望月の駅弁膝栗毛】
仙台を発って、東京・品川に向けてひた走る、常磐線特急「ひたち」。
HOUND DOG「ff(フォルティシモ)」の発車メロディにのせて仙台を発車してから約30分、坂元駅と新地駅の間で県境を越えて、宮城から福島へと入って行きます。
この福島・宮城県境付近の常磐線は、震災後、内陸に移設された区間。
列車は連続する高架橋や新たに掘られたトンネルを、快調に走り抜けて行きます。
(参考)JR東日本仙台支社ニュースリリース、2018年3月9日分ほか
震災前に常磐線が通っていた海側のルートは、かさ上げされた上で福島・宮城県道38号・相馬亘理線に転用されています。
常磐線の車窓から見ると、海側に堤防のような道路になって見えるのが県道38号。
この道を歩くと、さらにその海側に頑丈な堤防が作られているのがわかります。
二重の堤防で、この地域に暮らすみなさんの命を守りたいという決意のようなものを感じます。
(参考)福島県新地町・宮城県山元町ホームページほか
堤防の沖を流れる親潮に乗って、秋に北から下ってくる魚といえば、おなじみ「さんま」。
福島・小名浜では、このさんまをおからに漬けて正月やめでたいときの料理としていました。
いわき駅弁の「アクアマリンパークウェアハウス」では、このおから漬けを平成29(2017)年の常磐線開業120周年に合わせ駅弁化していましたが、この度、リニューアル再発売!
「さんまおから漬け寿司」(1000円)として、いわき駅ビルの店舗などで販売しています。
【おしながき】
・酢飯
・炙りさんま(三陸産) おから
・玉子焼き
・煮物(ほたて、人参、椎茸)
ふたを開ければ、フワッとお酢の香りがして、早くも食欲がそそられます。
寿司飯の上には、炙りさんまのおから漬けが、たっぷり敷き詰められています。
「アクアマリンパークウェアハウス」によると、3年前に販売した際は押寿司のみでしたが、今回、お客様により召し上がっていただきやすい駅弁として見直しを行い、おかずを入れて「弁当」化したのだそう…確かにこのタイプなら、食べ応えがありますよね。
かつての常磐線の線路跡に造られた県道38号の堤防道路から、移設された新しい線路を走る常磐線の普通列車を望みます。
より安全・安心な暮らしを追求して、変わりゆく鉄道風景。
そして、より美味しいものを追求して、変わりゆく駅弁。
堤防の向こうに広がる潮目の海を思い浮かべていただきたいリニューアル駅弁です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/