森喜朗会長辞任~遅過ぎた「レッドカード」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月12日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の辞任問題について解説した。

森喜朗会長辞任~遅過ぎた「レッドカード」

IOCのトーマス・バッハ会長との電話会談を受けて記者会見に臨む五輪組織委の森喜朗会長=2020年3月24日、東京都中央区 写真提供:産経新聞社

国際的に見れば「1発退場」のレッドカード

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、女性蔑視発言の責任を取り、2月12日の組織委員会の評議員会、理事会の合同懇談会で辞任を表明した。

飯田)オリンピックまであと160日余りです。

宮家)辞意という方向は当然だと思います。ただこの問題は、冷静、客観的に見なくてはいけないと思います。オリンピックには理想と現実と両方あって、理想は人権も含めて崇高なものです。しかし、同時に日本にとっても1964年以来という大イベントです。当然のことながら、ビジネスの利益も関係します。これが日本各地すべてで利益のぶつかり合いがあるわけですから、その中で物事を決めなくてはいけない。みんなの意見を聞くのが理想ですが、いろいろなことを決めなくてはいけないときに、誰がいちばんうまく収められるかということを考えると、現実問題としては、森さんのような経歴の方が適任だったのだろうと思います。

飯田)実績もあります。

宮家)ただ、もう1つの現実があって、あの発言が国際的にどう見られるかということです。11日のニューヨーク・タイムズでも大きく報じられていますけれど、国際的に見たら残念ですが、これはレッドカードで1発退場なのですよ。それなのに、日本ではイエローカードもなかなか出しにくくて、出すのか出さないのかとやっているうちに問題が大きくなってしまった。少なくとも広報という観点、対外説明という観点から言うと、非常によくないやり方でした。結果的にそれは東京オリンピック自体を傷つけたことになるわけです。そういう意味では、極めて残念だと思います。

森喜朗会長辞任~遅過ぎた「レッドカード」

東京五輪 開幕まで半年 東京駅前のカウントダウンクロック 開会式までの日数が182日と表示=2021年1月22日午後、東京駅前 写真提供:産経新聞社

森氏個人だけの問題ではない

飯田)メールもさまざまいただいています。越谷市の“ようこ”さん、77歳主婦の方。「女性蔑視発言の森さんが辞任して後任が川淵さん84歳、どうか老齢の思慮深さと英知を持って活動され、差し迫ったオリンピックに希望の火が灯ることを願うばかりです」といただきました。

宮家)その通りだと思います。ニューヨーク・タイムズにどう書いてあるかと言うと、「これは単に森さんだけの問題ではなくて、日本の古い人たちがまだ力を持っている」という書きぶりなのです。古いからと言って、お年寄りだからと言ってダメだということはないのです。しっかりした人たちはたくさんいるのですから、そういう力もきちんと示して欲しいと思いますね。

飯田)ニューヨーク・タイムズのようなリベラルと言われている人たちが、「古い考えだ!」と言ってそれを糾弾するまではまだわかるのですが、「古い人たちが力を持っているのがダメだ」というのは、年齢による差別にもなるのではないかと。

宮家)上の世代にもしっかりした人たちはたくさんいますから、その声がきちんと伝わるようにして欲しいと思いますね。

飯田)他にも“還暦テレワーカー”さん、60歳の会社員の方。「目上の人を立てるという日本のよさとともに、それにかこつけて権限にしがみつく人の醜さも同時に露呈したのかな」と。これがどこを指すのかですね。森さんそのものなのか、その周りなのか。含蓄のある指摘をされているという感じがありますね。

宮家)森さん個人の問題ではないですよ。それを止めた人もいるわけですからね。

飯田)実際に辞意を固めたあとに、引き留めた人もいます。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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