電子カルテによる「情報共有の現状」~東京都医師会理事・目々澤肇

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東京都医師会理事で「目々澤医院」院長の目々澤肇氏が6月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。電子カルテの情報を共有するネットワークについて解説した。

電子カルテによる「情報共有の現状」~東京都医師会理事・目々澤肇

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

病院同士で1人の患者を認識するためには「名寄せ」が必要

飯田)電子カルテについて、メーカーごとに互換のできない方言があり、それをどう翻訳する形でつなげて行くかということで、かなり有能な通訳、サーバーを置く形だとお金がかかってしまう。そうでないネットワークをつくらなければならない、となったときに、先生はどうつくったのですか?

目々澤)それぞれ、1人の患者さんがいるとします。それがネットワークのなかの病院同士で、「この人はAさんである」ということを認識しなければいけない。そのためには、名寄せということが必要になります。

「名寄せ」をすることから開発が進んだ~病院のIDをつなげる

飯田)それぞれの病院、ネットワークに同じ人の別々のカルテがある。それをまずは統合させなければいけない。

目々澤)そういうことです。患者さんの情報は、「その病院に患者さんが行った」「では、その患者さんをその病院に見に行こうか」という、つないだら見えるようなネットワークには一切なっていません。患者さんが1番目の病院から2番目の病院に行ったとする。そうすると、1番目の病院のIDがあります。2番目の病院のIDもあります。それが「同じ人だよ」ということをまず紐付けする。これが名寄せという作業になります。これがうまく行かなかったのは、その昔の生命保険です。名寄せをまずきちんとすることだけを念頭に置いて、最初の開発が進みました。

飯田)なるほど。お互いの診察券に番号があって、その番号を付き合わせるような。

目々澤)本来ならば、ここにマイナンバーの番号が混ざって来ればよいのですが、マイナンバーのサーバーにアクセスするのはとても面倒くさいということで。

飯田)個人情報保護法のいろいろな決まりもあります。

目々澤)ですから、病院間の連携の場合は、その病院のID同士をつなぐという、単純なことをまず考えました。

飯田)そうすると、その番号に紐付いているカルテも引き上げることができる。

目々澤)その通りです。

電子カルテによる「情報共有の現状」~東京都医師会理事・目々澤肇

新行市佳アナウンサー、目々澤肇氏、飯田浩司アナウンサー

日本中の病院でブレークグラスをすれば見ることができる

飯田)本来であれば、名前、あるいはマイナンバーでデータが取れて、「初診でも大丈夫」となるのが理想ではあるわけですか?

目々澤)それが理想ですね。最も大事なのは救急です。救急の場合は個人情報保護法で一応オッケーが出ているのです。「ブレークグラス」と言いますが、非常ボタンのガラスを割るのと同じような形で、患者さんの生命に危険があるときは、ネットワークにその患者さんの情報がつながっているとすれば、その情報を見ていいと。ですから、それに対応できるようなネットワークに、これから変えて行かなければいけない。1つのベンダーさんのなかでそれができるようになっているところがあります。その場合は、「日本中の病院でブレークグラスをすれば見ることができる」という仕組みになっていると聞いています。それを東京総合医療ネットワークで他のベンダーさんにも拡大できればいいなと。

マイナンバーカードによるオンライン資格確認の導入が進まない

飯田)全国のカルテ情報とつながる道はあるけれど、通行手形がないということですか?

目々澤)そういうことです。ベンダーさん同士の垣根はまだ全国的に取り払われているわけではないですから、とりあえず東京のなかでは仕組みは壊したのだけれど、まだ参加している病院というのが12しかないので、ここを広げて行かなければいけない。

飯田)そこに、マイナンバーで保険証の情報も紐付けられるようになれば、事務処理も楽になるかも知れない。

目々澤)そういうことだと思います。ただ、なかなか大きな病院でマイナンバーカードによるオンライン資格確認を導入しようという機運は高まっていないようです。ましてコロナ禍ですから、こういう面でICTの余計なリソースにお金を割く余裕がないところが多いです。また今回、4月から10月に運用開始が遅れたように、システム自体がきちんと整っていなかったということも1つの問題です。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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