黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(6月11日放送)にフリーアナウンサーの町亞聖が出演。介護の今後の課題について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。6月7日(月)~11日(金)のゲストはフリーアナウンサーで報道キャスターの町亞聖。5日目は「これからの活動・目標」について---
黒木)介護の課題なのですけれども、「2025年には介護を担う人材が40万人近く不足する」という統計が出ているとのことですが、そんなに不足するのですか?
町)2025年がなぜ注目されるかというと、団塊の世代の方たちが75歳になるのが2025年だからなのです。しかし、これだけの人を介護職にというのは、現実的には厳しいような状況のような気はしています。専門の資格がなくてもできる部分はあるので、その部分は地域のボランティアなりに手を借りてやっていくという形が私はベストかなと思います。
黒木)地域のボランティアの方に。
町)介護施設で暮らす高齢者の方々とオリパラを生で観戦したいというので、おじいちゃんとおばあちゃんとオリンピックを目指して、いろいろ交流会をしていたのですけれど、そこで一緒に関わっていた大学生が印象的なことを言っていました。その子はスーパーに就職することになったのですが、「車いすの方を押すボランティアを経験したので、スーパーの陳列を低くします」と言って卒業して行ったのですね。
黒木)車いすの方を押したからわかったのですね。
町)介護の手は足りないのだけれど、地域のなかでそういう意識を持っている人を増やせば、何も介護職を増やさなくても暮らしはできるのではないかと、その言葉でハッとさせられました。
黒木)これからの活動の目標についてはどのように考えていらっしゃいますか。
町)町亞聖として一緒に勉強会をやって、交流会をやって、職種を超えて交流をして現場の努力に触れると、「日本の将来はそんなに暗くない」と思っています。いろいろな連携も進んで来ています。先に行っている人たちは、介護を突き詰めると皆さん、街づくりに行きつくようです。
黒木)街づくりに。
町)こんなことを言っている私も、子供のときみたいに近所の人たちと交流しているかというと、母がいたときの方ができていたのです。車いすで家から出て行くと近所の人が「いってらっしゃい」と言ってくれるのですね。高齢者や障害のある方の存在はみんなをつなぐ大事な役割でもあると思うのです。
黒木)そうですね。
町)高齢者や障害者の方の生きづらさは本人のせいではなく、生きづらさを感じさせる社会に問題があるのです。「それをどう取り除くか」ということを考えれば、みんなが人が住みやすい、優しい街になるのです。皆さんがコロナで不安に駆られてしまうなかだからこそ、関心を持っていただきたいと思います。
黒木)そう思います。
町)私が伝えることがなくなればいいなと思うのですけれど、生きづらさを抱えている人はヤングケアラーも含めてまだまだたくさんいます。その声がある限りは、伝える仕事を現役でして行きたいと思います。
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町亞聖(まち・あせい)/ フリーアナウンサー 報道キャスター
■1971年8月3日生まれ。埼玉県さいたま市出身。
■立教大学文学部を卒業後、1995年、日本テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、お天気情報番組、クラシック、ニュースなど様々な番組を担当。
■その後、報道局に活動の場を移し記者、キャスターとして活躍。
■主に厚生労働省担当記者としてがん医療、薬害肝炎、医療事故、不妊治療、臓器移植、難病問題や年金などの社会保障問題など様々なテーマを取材。
■肩書きにとらわれず、「自分で取材し、自分の声で伝える」アナウンサーを目指し、さらに活動の幅を広げるため、2011年6月にフリーへ転身。
■私生活では10年間にわたって母親の介護を続けてきた。その母と父をがんで亡くした経験から、医療を自身の生涯のテーマとして取材活動を続けている。
■ニッポン放送『ウィークエンド・ケアタイム 「ひだまりハウス」 ~うつ病・認知症について語ろう~』ではパーソナリティを務め、うつ病、認知症の専門家と共に役立つ情報を分かり易く伝える。
■著書に『十八歳からの十年介護』。介護や医療がテーマの講演も行われている。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳