手延べそうめんの名店「八千代」が倒産から奇跡の復活 その先に目指すもの

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ニッポン放送「八木亜希子 LOVE&MELODY」(毎週土曜日8時30分~10時50分)の番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【東京新聞 プレゼンツ 10時のグッとストーリー】

もうすぐ七夕ですが、7月7日は「そうめんの日」でもあります。きょうは、「半田そうめんの町」として知られる、徳島県つるぎ町(ちょう)半田地区で、一度は製造中止に追い込まれたブランドそうめんを、工場設備を買い取って事業を受け継ぎ、再び復活させた男性のストーリーです。そこまでして、地元の名産を残した理由とは……?

300年以上の伝統を持ち、一般のそうめんよりも太くコシが強いことで知られる「半田手延べそうめん」。つるぎ町半田地区を流れる吉野川の伏流水(ふくりゅうすい)で作られ、船頭さんたちが、仕事の少ない冬場、自分たちで食べるために作ったものが原型と言われています。

四方を山に囲まれた山間部にある半田地区は剣山(つるぎさん)から冷たい風が吹き下ろし、そうめんを乾燥させるのに最適な土地でもありました。半田地区には、30社近いそうめんメーカーが存在します。

中でも「ブランドそうめん」として人気を集めていたのが「半田手延麺(てのべめん) 八千代」。「国産小麦100%」と素材にこだわり、全国のファンに愛されてきた「八千代」は、2020年5月、突然製造が中止に……。新型コロナウイルスの影響でメーカーが資金繰りに行き詰まり、倒産したのが理由でした。そこに救いの手を差し伸べたのが、地元・徳島出身、「株式会社そらにわ」の代表、森和也(もり・かずや)さん・46歳です。

左から2人目が株式会社そらにわ代表・森和也さん

「私自身、子どもの頃から半田そうめんが大好きで、地元に伝わる伝統の味が消えてしまうのはもったいないなあ、と思ったんです」

森さんの会社「そらにわ」は不動産業や、障がい者の就労支援などを行う会社で、森さんは地域のコーディネートを行っています。倒産した八千代の前社長と仲が良かった味噌メーカーの社長が「八千代をなくさないでほしい」という地元の声を聞き、「なんとか復活できないか」と知人たちに声を掛け、その話が森さんの耳にも入りました。

森さんは言います。「倒産の理由は、前の会社がもともと土建業から参入した会社で、そちらで抱えていた負債も関係していたんです。もっと世間に八千代の美味しさをアピールして、ネットでの販売も増やしていけば、十分やっていけるはずだと」

それまで働いていた職人さんたちも戻ってきてくれることになり、森さんは事業を受け継ぐことを決意。クラウドファンディングを募ったところ、100人以上のファンの支援が集まりました。2020年11月、半年ぶりに「八千代」の製造が本格的に再開。しかし大きな問題が……。

半年間出荷が止まった影響で、「八千代」が並んでいた棚には、すでにほかのメーカーのそうめんが並んでいたのです。また置いてもらおうと頼んでみても、そう簡単にはいかず、売上げはまだかつての2、3割程度。ただ、異業種から参入した強みもあります。様々な企業とのコラボなど新しいことをやっていきたいという森さん。

実は「八千代」を受け継いだ理由は、もう一つありました。それは「障がい者の雇用につなげること」。森さんはかつて徳島を離れ、淡路島に住んでいた時期があり「株式会社そらにわ」はそのときに設立。森さんは、淡路島で障がい者の就労を支援する事業の立ち上げに携わったことで、障がい者の就労の現状を知り、それ以来、障がい者がその人らしく生き生きと活躍できる仕組みを作りたいと活動してきました。現在、そうめんの地方発送業務を、障がい者を雇用する企業に発注していますがゆくゆくは直接、八千代の製造に関わる仕事に障がい者を雇用できるような環境整備を考えています。

「まだまだ、働きたくても働けない障がい者の方は多いんです。地元企業で障がいを
持つ人が働けるモデルケースを作っていきたいと思っています」

淡路島に住んだことで、外から徳島を見ることができたのは大きかった、と語る森さん。

「徳島には半田そうめん以外にも、おいしいものや、全国に誇れる名物がたくさんあるんですが、発信するのが上手じゃないんですね。半田そうめんをもっと全国に広めて、ファンを増やして、徳島の良さを伝えて行けたらいいなと思っています」

半田手延麺 八千代:https://tenobemen.com/

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