医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が10月4日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍での献血について解説した。
献血は不要不急の外出には当たらない
飯田浩司アナウンサー)コロナ禍で献血をする人が少なくなり、大きな問題になっていると聞きました。
森田)緊急事態宣言による外出の自粛が原因で、献血に足を運ぶ人が少なくなりました。以前よりも献血ルームに行く人が減ったというのもありますが、それよりも痛手になったのはさまざまなイベントが中止になり、イベント会場で献血を呼びかけるような献血車が機能しなくなったことです。
飯田)大きなバスで、なかで献血ができるという。
森田)日本赤十字社も呼び掛けていますが、献血は不要不急の外出には当たりません。輸血に使う血液を日々安定的に患者さんへ送り届ける必要があるので、不要不急の外出には当たらないのです。ちなみに毎日約3000人余りの患者さんが、輸血のための血液を必要としていると考えられています。
飯田)毎日約3000人ですか。
手術のための輸血は全体の3%
森田)血液を必要としている患者さんというのは、どのようなイメージがありますか?
飯田)ケガをして多く出血してしまった人を助けるようなイメージです。
新行市佳アナウンサー)あとは、手術のときに使うというイメージですかね。
森田)確かに輸血が必要な人というのは、交通事故あるいは手術を受ける人と思われがちなのですけれども、そのような方々に輸血する血液は全体のたった3%くらいなのです。
飯田・新行)そうなのですか。
森田)もちろん、そのような方々への輸血用の血液は必要なのですが、輸血の多くは病気の治療に使われているのです。すなわちガン、白血病、心臓病、肝疾患、再生不良性貧血などの患者さんに、定期的に血液を供給しているということなのです。
再生不良性貧血
新行)「再生不良性貧血」というのは初めて聞いたのですけれども、どのような病気なのですか?
森田)あまり聞かない病気かも知れません。骨髄で赤血球をつくる働きが衰えてしまう病気で、貧血に陥ってしまいます。ですから定期的に赤血球の輸血をしなくてはいけない。その他、ガンや白血病の患者さんには抗がん剤を投与しますから、一時的に体のなかで血液がつくりにくい状態になるので、輸血が必要になることもあるのです。
輸血する際、事前に日本赤十字社のホームページで確認を
飯田)輸血用の血液は赤十字のマークがついているイメージがあるのですが、あれは日本赤十字社がやっているのですか?
森田)日本赤十字社がすべて管理しています。献血は基本的に16~69歳までの方が行われるボランティアなのです。できるかどうかについての細かい条件があるので、あらかじめ日本赤十字社のホームページなどで確認するか、電話で問い合わせてください。ボランティアですので、人のためになりたい方に参加していただきたいと思います。
血小板の保存期間はたったの4日
新行)献血した血液はどれくらい保存できるものなのですか?
森田)血液には保存期間が決められています。成分によって異なりますが、赤血球は採血後21日間、血小板は採血後4日間しか持ちません。血球成分を取り除いた血漿は採血後1年間ほど保存できるのですが、それでも保存期間が決められていますので、絶えず多くの献血者の方の協力が欠かせないのです。
飯田)保存期間の短さというのは、イメージよりも「短いな」という感じです。
新行)そうですね。
飯田)血小板が4日しか持たないということは、ある意味で4日に1回は必ず入れ替えなければいけないということですよね。
森田)そうですね。ですから不要不急の外出ではないので、できる限り献血に協力的になってもらいたいということです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます