東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が11月8日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナ第6波に備えた医療体制の仕組みについて解説した。
新型コロナ感染者数が激減した原因はまだよくわからない
飯田浩司アナウンサー)前回、尾﨑会長にお話を伺ったのが9月でした。あの当時は新型コロナの感染状況が7日間平均で1000人台となり、それでも「落ち着いて来たぞ」という話をされていましたが、劇的に変わりましたね。
尾﨑)そうですね。激減しましたね。
飯田)どのような思いでいらっしゃいますか?
尾﨑)原因についてはいろいろなことが言われています。ウイルスが自壊して来たというような話もありますが、まだはっきりしない部分が多いです。いずれにしろ、これだけ減りますと、発熱外来の患者さんはほとんどいませんし、PCR検査をしても陽性の方はほぼいません。
飯田)PCR検査でも。
尾﨑)病院の先生も診療の先生も一息ついて、これからの第6波に備えて英気を養っているところです。インフルエンザのワクチンについても、いま集中して打てるようになっているので、現在はいい状態だと思っています。
PCR検査ができる診療・検査外来や医療機関は都内で3000ヵ所 ~東京都に公表を依頼
飯田)第1波から第5波まで、医療に関しては辛い時期が長かった。そこで学んだことを踏まえながら、次の第6波について「どうするか」というところですが、もう既にいろいろと手は打っているのですね。
尾﨑)まずは早期に発見することです。コロナ感染者の方が、熱が出て、それから3日~4日経って検査できるところを探して……ということをしていますと、発見した段階で中等症になっていることもあります。熱が出たらすぐ発熱外来に行けるような仕組みをつくりたい。いま、診療・検査外来や医療機関で検査できるところが3000ヵ所ぐらいあります。
飯田)そうなのですね。
尾﨑)そこをすべて東京都に公表してもらい、スマホやパソコン上で見られるようにします。そうすると、発熱した患者さんが「近所ではここにある」と、場所をすぐに探して受診することができるので、熱が出た日に行くことができる。PCR検査は次の日に結果が出る場合が多いので、発熱して2日目にコロナかどうかがわかるのです。既にかなりつくってはいますが、さらに拡大して行きたいと思います。
飯田)まずは発見して、適切に医療を提供する。
尾﨑)保健所に任せるだけではなく、一緒にやって行く。もとからあった地域包括ケアシステムのように、「みんなで見守って行きましょう」という状況になって来ているのだと思います。
「中和抗体薬治療コールセンター」では送迎の手配もしてくれる
飯田)治療の部分についても、最初はどこに行けばいいのかわからず不安になる人もいましたが、ここも手当てはしていますか?
尾﨑)東京都が「中和抗体薬治療コールセンター」というものをつくりました。ここに連絡してもらうと、「あなたの近くではここです」と抗体(カクテル)療法を受けられる施設を教えてくれて、そこで抗体療法が受けられます。その手配もしてくれますし、送迎車の手配もしてくれます。
飯田)送迎の手配も。
尾﨑)ここが大事なポイントだと思います。東京都の方にアクセスすればわかりますので、日頃からこのようなセンターと連絡先を覚えていただければ、いざというときに役に立つと思います。
飯田)そうですね。
尾﨑)早めの段階で見つけて、軽症者の方も含め、できるだけ早めに治療へつなげて行くことが大切です。「早期発見、早期介入、早期治療」の3本立てでやって行きたいと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます