「FRB議長は誰がなっても大きくは変わらない」高橋洋一が解説 

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月24日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の再任指名について解説した。

「FRB議長は誰がなっても大きくは変わらない」高橋洋一が解説 

米連邦準備制度理事会(FRB)本部(アメリカ・ワシントン)=2021年1月27日 EPA=時事 写真提供:時事通信

FRB議長人事 ~無難にパウエル議長に再任指名

アメリカのバイデン大統領は11月22日、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の再任指名に踏み切った。パウエル氏は就任当初こそ「手腕が未知数」とされていたが、新型コロナウイルス危機下の政策対応で評価を高めている。

飯田)ホワイトハウスが方針を出して来たということですが、再任にも議会の承認は必要になりますよね?

高橋)そうですね。前の政権でもやっていたから、無難と言えば無難ですね。

飯田)トランプ政権下で指名された人ですからね。

高橋)今回、副議長にラエル・ブレイナードさんという女性の方が指名されました。この方は理事だったのだけれども、格上げされたので、その次の含みもあるのではないかと思います。今回の人事は無難だけれど、次は女性もいますよという感じなのではないでしょうか。

副議長に女性のブレイナード氏

飯田)ブレイナードさんも、直前でバイデン大統領に個別に呼ばれて、「この人が議長になるか?」ということも言われていました。

高橋)しかし、無難に行ってしまったという感じです。でも副議長だから、次の含みがあるのではないかという気がします。前もイエレンさんがやっていたし、民主党としては、女性起用というのは売りなのでしょうね。

「インフレ目標」を立てれば誰がやっても同じ ~インフレ目標を守って失業率を下げるだけ

飯田)政策的には、ブレイナードさんにしても、パウエルさんにしても、基本的には変わらないのですか?

高橋)変わらないですね。昔ほど人によって政策が左右されなくなりつつあるのです。インフレ目標をなぜやっているかと言うと、「誰がやっても同じようなものになるように」ということで、あのような政策をやっています。逆に言えば、人で変わってしまうというのはおかしいのです。

飯田)高橋さんは「AIにやらせればいいではないか」とおっしゃっていましたね。

高橋)私は、究極的にはAIにやらせるのもありだと思います。

飯田)数値でとにかく判断すると。

高橋)それがいちばん簡単ではないのかと思います。「サーモスタットと一緒」というのが私の持論です。

飯田)サーモスタットと一緒。

高橋)人によって変わるようになったら、決まらなくなるではないですか。AIのプログラムであれば予測できるでしょう。金融政策の場合は予測された方がいいのです。「サプライズ、サプライズ」でやっていると、何をやっているのかわからなくなるので。

飯田)大袈裟なことはいらない。

高橋)インフレ目標をきちんと守って、失業率を下げるだけの単純なことなのです。だから今回のように「人事が!」と騒ぐのは、私から言うと、本来の趣旨ではないのだといつも思います。

インフレ率が5%ぐらいまでならば社会的コストに大きな影響はない

飯田)インフレ目標を守りながら、失業率を下げる。現在のアメリカの場合は、失業率がやや下がって来たかなという感じで、インフレの方が上がって来てしまった。

高橋)上がり過ぎてしまった。だから「どうやってマネジメントするか」という話なのでしょう。インフレをまた引き締めると、失業率も下がりにくくなるので、困るのです。でも割りきってしまうと、インフレ率なんて、なんてと言ってはいけませんけれど、いま「高い」と言っているでしょう。

飯田)そうですね。アメリカは6%くらいまで行っています。

高橋)社会的コストを考えたときに、社会的コストというのは、インフレ率が高くなり過ぎて取引が不十分になる。そのコストは計測できるのです。そうすると、2%から4%か5%になっても大したことはないのですよ。そんなに大きな差ではない。

飯田)そうですか。

高橋)場合によっては2%と言っているのだけれど、4%ぐらいまで行っても、そんなに大騒ぎするような話ではないのです。

飯田)4%まで行っても。

高橋)社会的コストがものすごく大きくなるのは、5%以上になって、それがずっと続くと大きい。10%ぐらいになると、非常に大きいのですけれどね。2%や4%であれば、大差ありません。

インフレ率が上がるデメリットと、失業率を下げるメリットを比較する

飯田)そう考えると、いまは6%ですが、これが続くと大きくなるけれど。

高橋)また下がって5%より下になれば、そんなに大騒ぎするような話ではありません。そうやって割り切れるかどうかという問題はありますけれど。いろいろな社会的コストを計算しながらやって行くと、4~5%くらいであれば大した話ではありません。

飯田)FRBの意思決定には当然、社会的コストの部分も入って来るのですか?

高橋)そのはずです。

飯田)いま6%まで来ているということで、市場は囃し立てるではないですか。「すぐにでも利上げが行われるのではないか」という。

高橋)重要なのは失業率の方なのです。だから、インフレ率が多少上がったところのデメリットと、失業率を下げるメリットを比較するのですよ。そういう考え方ができるかできないか、というのが、こういうときのポイントになるのです。

価格と物価は別

飯田)別途、政治の方はガソリン価格など、個別の価格の部分が上がって来ると。

高橋)物価ではなく、価格なのです。価格についてうるさく言うのです。政治だから仕方ないのですけれどもね。ガソリン価格と一般物価は別なのですが、報道するときには、価格と物価を混同して説明してしまうのです。そうすると、ゴチャゴチャになってしまいます。

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