年間30万人以上が苦しむ「視覚障害」とは
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東京都医師会理事で「ささき眼科」院長の佐々木聡氏が1月31日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。視覚障害について解説した。
定義されているのは「視力障害」と「視野障害」
飯田浩司アナウンサー)視覚障害ですが、種類や定義付けがいろいろと違うものなのですか?
佐々木)身体障害者福祉法には視覚障害の認定基準があります。そこでは、「視力障害」と「視野障害」の2つが定義されています。
飯田)「視力」と「視野」。この法律のなかで、階級のようなものはあるのですか?
佐々木)視覚障害は、1級~6級まで定められています。1級は、視力のよい方の目の、矯正視力が0.01以下という定義になっています。2級以下は視力の数字と、視野の障害の組み合わせで細かく決められています。
飯田)これは矯正視力なのですね。
佐々木)そうですね。あくまで「矯正した視力」です。私は強い近眼なので、眼鏡を外すと視力が0.1もないのですが、眼鏡をかければ見えるので、視力障害ではありません。あくまで「眼鏡をかけてどこまで見えるか」が障害を考えるポイントになります。
Cの字の隙間の方向を示す「ランドルト環」
新行市佳アナウンサー)健康診断の視力検査で、「Cの字があって、どちらが空いているか」を口頭で言うものがありますよね。
佐々木)そのCの字は「ランドルト環」と言います。Cの字の隙間を、どれだけ細かく見分けられるかが視力の定義になります。
飯田)そうなのですね。だから「どちらが空いているか」という検査になるのですね。
佐々木)そうですね。
いろいろな症状のある「視野障害」
新行)先ほど「視力障害と視野障害の2つが定義されている」とおっしゃいましたけれども、「視野障害」の方はどのようなものなのでしょうか?
佐々木)視野とは、どこまで広い範囲が見えるか、ということです。範囲だけではなく、どの部分が見えないのかということも大事になります。例えば、「周辺視野障害」の場合、「周りが見えない」ということになります。周りは見えるのだけれども、「中心だけ見えない」という人もいます。この場合、字を読むのは難しいけれど、人にはぶつからずに歩けます。右半分だけ見えないような障害や、上半分だけが見えないなど、視野障害にもいろいろな形があります。
徐々に進行して行く場合が多い
飯田)視野障害は、自分で気付ける程度であれば、症状を口で説明することもできると思います。ただ、自覚するまでに至らず、徐々に進行するような病気もあるのですか?
佐々木)それはさまざまですね。突然、症状が現れる病気は少なくて、徐々に進行して行く場合が多いと思います。
2018年の18歳以上の視覚障害者は31万人 ~18歳未満の「視覚障害児」は4900人
飯田)視野障害や視力障害を持たれている方の、人数、年齢、男女比などは明確にわかっているのですか?
佐々木)厚労省で「身体障害児・者等実態調査」が行われています。2018年の統計を見ますと、18歳以上の視覚障害者の方は31万人でした。
飯田)年齢別には、どの世代が多いのですか?
佐々木)20代の5000人をスタートに、30代~40代は1~2万人です。年齢が上がるにしたがって増えて行き、60代が6万人、70歳以上が15万人となっています。ちなみに、18歳未満の「視覚障害児」は4900人でした。
飯田)先天的に症状がある方よりは、病気などで後天的に、中途障害や中途失明となった方が多いということですか?
佐々木)そうですね。年齢が上がるほど、いろいろな病気が増えて重症化し、視覚障害になる方が多いです。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます