コレステロール値だけで判断してはいけない動脈硬化の進行
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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が3月17日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。ネットの情報を鵜呑みにすることの危険性について解説した。
ネットの情報を鵜呑みにする人が多い
飯田浩司アナウンサー)これだけネットが普及して、スマホ1つで何でも調べられるようになると、「先生、僕の病気はこうなのでしょう」と間違っていることを言って来る人が増えたのではないですか?
尾﨑)たくさんいますよね。なぜそんなことを言うのですかと聞くと、「ネットで調べたらそう書いてあったから、心配になって来た」と言うのです。「コレステロール値が高いのを放っておくと、すぐに動脈硬化を起こして死んでしまう」というようなことが書いてあると、「自分はコレステロール値が高いと言われたのだけれど、どうすればいいでしょうか」と言うような人がたくさんいます。
飯田)コレステロールは確かに、数値は何となく気になるのですが、どう判断していいのかわかりません。年齢によっても違うのですか?
尾﨑)若い方でコレステロール値が高い場合は、動脈硬化を起こしやすいというデータはあります。それから、特に心筋梗塞や狭心症などの既往歴がある方は、コレステロール値を十分下げておかなければならない。これは2次予防と言うのですが、そういうデータはあります。
飯田)2次予防。
尾﨑)しかし、75歳以上の方が、いままでそういう病気がなくてコレステロールが高く、それを治療したらいい結果が生まれるかと言うと、そういう論文もエビデンスもないのです。
飯田)そうなのですね。
尾﨑)動脈硬化の「4大危険因子」はコレステロール、高血圧、糖尿病、喫煙です。これをいくつ持っているかということで判断します。
いろいろな要因を総合的に見て判断するべき
尾﨑)あるいは両親やご兄弟など、家系的に心臓が悪い人や脳卒中を起こした人がいる場合、遺伝的なものなどを総合して、「私のコレステロール値の高さは危険なのでは」などと判断する。
飯田)総合的に見て。
尾﨑)首の血管に超音波を当てると、動脈硬化が起きているかどうかがわかりますので、そういうこともやった上で判断しなくてはいけません。単にコレステロール値が高いから薬を飲まなくてはいけないということではありません。
飯田)コレステロール値や中性脂肪、あるいは血圧が上がったりすると、それだけで「まずいのではないか」と短絡的になりがちですよね。総合的に見て判断する。それがまさにヘルスリテラシーというわけですね。
尾﨑)そうです。総合的に考える。
飯田)数字1つで早飲み込みしてはいけないのですね。
尾﨑)血圧にしてもコレステロールにしても、「ここを超えたらダメ」とみんな思ってしまっているのです。そうではなく、平均がどれくらいかということで判断するのです。その日に血圧が180あったから「倒れて死んでしまう」と思う方がたくさんいるのですが、実はそうではありません。
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