オミクロン株 ~重症者が少ないのに死亡者数が多いのはなぜか

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東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が3月29日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。第6波において、重症者が少ないのに死亡者数が多い理由について解説した。

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

新型コロナ感染症における「重症」の定義

飯田浩司アナウンサー)第6波では、「中等症から一気に亡くなる方が少なくない」という報道もありました。そういうことは実際に起こり得るのですか?

猪口)人間が病死するときには、「重症化して、そこから重篤な症状に進んで亡くなられる」というのが普通です。しかし、新型コロナウイルス感染症は感染症法上、重症というものの定義がされているのです。

飯田)定義?

猪口)国基準で言いますと、人工呼吸器またはECMOを付けた患者さん、もしくは重症用の病床、ICUやHCUに新型コロナ感染症として入られた方が重症者とされます。

飯田)国基準では。

猪口)東京の場合だと、人工呼吸器を付ける、もしくはECMOを装着した方に定義を絞っています。

人工呼吸器を装着しても苦痛だけを与えてしまう可能性がある高齢者には、人工呼吸器を装着せずに治療 ~そのような患者も定義上は重症者ではない

猪口)80歳~90歳のお年寄りで、かなりフレイル(虚弱)が進むと、挿管というような人工呼吸器の治療をしても、よくなる見込みがなかなか持てないくらい体の状態が衰弱している方がかなりいらっしゃいます。

飯田)高齢者の患者の方で。

猪口)そのような方たちに人工呼吸器を装着しても、苦痛だけを与えてしまう可能性があるのです。だから人工呼吸器を装着しないまま、できることを尽くして、苦痛にならないように治療を続ける。その治療をしている間に亡くなられる方が多いのです。そうすると、この方は定義上、重症者ではないのです。

飯田)定議上は。

猪口)重症者でないまま亡くなるということになるのです。それで「重症者が少ないのに、なぜこんなに亡くなるのだ」という話になってしまう。今回は重症というものの定義を決めたことによって、そういう問題が起きているのだということを理解いただきたい。

猪口正孝氏、飯田浩司アナウンサー

がんなどで寝たきりの高齢者が新型コロナに感染して亡くなるケースも少なくない

猪口)一方で、もともとの病気、例えばがんや脳卒中などの深刻な状態で、寝たきりの高齢者の方がいらっしゃいます。「もういつ亡くなってもおかしくない」と私たち医者がよく言うような方たちが感染されて、亡くなるケースも少なくありません。そのなかには「新型コロナ感染症によって亡くなったのではない」と判断されるような方もかなりいらっしゃるのです。

飯田)もともとの病気によって。

猪口)新型コロナウイルスはあらゆる方に感染しています。比較的症状が軽度であっても、最後のギリギリのところのバランスを崩す役を、コロナが担ってしまったという方もいます。それが今回、高齢者の方に関する感染の1つの特徴です。

コロナ死でも「主たる死因・病名」は別の病名の方が増えている

飯田)その場合も「コロナ死」と定義されるのですか?

猪口)統計上はコロナ死になります。ただ、死亡診断書の「主たる死因・病名」を書くところに「新型コロナ感染症」と書かれない患者さんが、いままでと比べて増えたということです。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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