お医者さんは胸や腹を指で叩いて何がわかるのか

By -  公開:  更新:

医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が4月5日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。医師が診察の上で行う「打診法」について解説した。

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

聴診・視診・打診 ~3つの診察法

飯田浩司アナウンサー)胸に聴診器を当てて診たあとに、お医者さんが患者さんの胸を指で叩くようなことをやっていますよね? あれは何なのでしょうか?

森田)あれは手で叩いて音を聴く、打診という手技です。医師が患者さんを診察するときには、耳で聴く聴診、目で見る視診、そして手で叩いて音を聴く打診があります。

飯田)聴診、視診、打診。

体に当てた指をもう一方の指で叩き、その音で判断する ~打診法

森田)打診というのは、医師が片方の指を患者さんのお腹や胸に当てて、もう一方の指で既に体に当てている指を叩き、患者さんのお腹や胸の状態を把握します。

飯田)そうされますね。

森田)叩くことによって、水が溜まっている場合には低い音が出ますし、空気が溜まっている場合には高めの音になります。お腹のなかや胸のなかでどのようなことが起きているのか、音で見分けることができるのです。聴診、視診と並んでとても重要な手技です。まず、通常は左手の中指をお腹や胸に当てます。その中指を右手で叩きます。

飯田)中指のどの辺りを叩けばよいのでしょうか?

森田)真ん中の辺り、第一関節ぐらいのところです。そうすると音がしますよね。場所を変えて叩いてみると、硬いところだともっと高めの音が出ます。これで診ていくのです。

新行市佳アナウンサー、森田豊氏、飯田浩司アナウンサー

打診法が生まれたきっかけ

森田)打診法が生まれたきっかけですが、あるもののなかに水が溜まっているのか、空気が溜まっているのかを外から叩いて判断しようとしたことから発案されました。その際、何を叩いたのだと思いますか?

飯田)医療と言えば西洋なので、肉などではないですか?

森田)肉を叩いて美味しいかどうかがわかりますかね?

飯田)いや、わかりませんよね。

森田)実は打診法は、ワイン樽から生まれたと言われています。

飯田)ワイン樽ですか。

森田)1761年にオーストリアのアウエンブルッガー医師が考案されたのですが、誕生のヒントとなったのが、ワインの残りの量を確かめる方法だったとされています。

ワイン樽の残りの量を音を叩いて確認していたことから ~高い音であれば残量が少ない

森田)彼の実家は宿屋で、地下にワイン樽があったのですが、父親が樽をトントンと叩いて残りのワインの量を調べていたことをヒントに、打診法を考え出したとされています。また、アウエンブルッガーは音楽が好きで、音の高低を聴き分ける能力にも優れていたということです。

肺に血や膿が溜まると低い音になる

森田)肺のなかには通常は空気があるので、「コーン」と澄んだ音が響くのですが、肺に血液や膿が溜まった場合には「コツコツ」といった低い音になります。これを利用して、肺に病巣があるかどうかを調べる。低い音がする場合には、病巣の大きさや位置などがわかるということです。

飯田)音1つでいろいろなことがわかるのですね。

森田)いまはCTやMRIもありますが、小規模なクリニックや災害時などは、打診法でかなりのことがわかるため、診断が可能になるのです。

飯田)必要ですね。

森田)いまは打診法を用いる医師が少なくなっているのが現状かも知れません。いろいろな医療機器が発達していますので。あとは本当に微細な、ごく早期の肺がんなどは、打診法では見つけられないということもあります。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

Page top