日本独自の職種、ECMO治療にも不可欠な「臨床工学技士」とは?
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ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(4月10日放送)に、日本臨床工学技士会の本間崇理事長が出演。「臨床工学技士」の仕事について語った。
自見はなこ:「臨床工学技士」とは、どのような仕事なのですか?
本間:1987年制定の「臨床工学技士法」で規定された国家資格です。医学と工学の両面を兼ね備えた専門医療職で、医師の指示の下、生命維持管理装置の操作や保守点検に携わっています。また、心血管カテーテルや高気圧酸素治療などに関わる業務もあり、多岐にわたります。昨年(2021年)10月、臨床工学技士法の一部が改正され、集中治療室や手術室での業務も拡大しており、「いのちのエンジニア」とも呼ばれています。
自見:「チーム医療」における臨床工学技士の重要性についてお聞かせください。
本間:現在の医療は、技術の進歩や医療機器の発展によって医療提供が行われ、さまざまな疾病に対して治療効果をあげています。医師を中心とした多くの専門職が、その専門性を生かし、協力し合って患者さんの治療にあたる「チーム医療」の推進が叫ばれ、既に10年が経過しています。私たち臨床工学技士は、医療機器の操作や点検に精通したスペシャリストとして、「チーム医療」の一員として医療提供を支えております。世界的に見ても、医療機器の保守点検から操作まで幅広く見る例は、他の国にはありません。日本独自の職種であり、これからも我々は臨床工学技士として、「チーム医療」に貢献していきたいと思っております。
淵澤由樹(アシスタント):日本だけの職種なのですか?
自見:日本独自のものです。コロナ禍でよく耳にする「ECMO」に関して、日本の治療成績は世界でもトップクラスなのですが、おそらく臨床工学技士の方々の存在が底支えした結果だと思います。現在、日本には何人ぐらいの臨床工学技士がいらっしゃるのでしょうか?
本間:2021年4月の時点で約5万人、国家資格を取得した臨床工学技士がいます。そのなかの3万5000人程度が、病院などの医療施設や医療機器の企業、教職などとして働いています。
自見:臨床工学技士という職業の魅力は何でしょうか?
本間:日本臨床工学技士会は命を支えるエンジニアとして、「全ての人の健康と笑顔を追求する」という理念を掲げています。私たちが扱う医療機器は、生命に直結する高度な医療機器ばかりであり、確実に保守点検や操作を行うことで治療をスムーズに運び、患者さんの命が救われます。そこに大きな喜びとやりがいを感じ、「命を支えるエンジニアになってよかった」と感じる技士が多くいると思います。
自見:命に直結する部分を扱っていただいている、まさに命を支えるエンジニアですね。
番組情報
この番組は、子育てで日々奮闘しているママやパパ、そしておじいちゃん、おばあちゃん、ご近所さんなど、子育てに関わる皆様に、役立つ情報を提供してゆく子育て応援プログラムです。
ナビゲーター:尾木直樹 アシスタント:淵澤由樹(フリーアナウンサー)