人手不足のなか「医師から他職種へのタスク・シフティング(業務移管)」は実現できるのか ~医師の働き方改革

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東京都医師会理事で「葛西中央病院」院長の整形外科医、土谷明男氏が4月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。診察以外の医師の仕事について解説した。

人手不足のなか「医師から他職種へのタスク・シフティング(業務移管)」は実現できるのか ~医師の働き方改革

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

医師が書かなければならない書類の多さ

飯田浩司アナウンサー)医師の方の書類仕事には、どんなものがありますか?

土谷)「診断書を書いてください」という仕事は多いです。私は整形外科医ですが、交通事故に遭った場合は交通事故の診断書や入院の証明書を書きます。

飯田)交通事故の場合。

土谷)介護保険制度の「主治医意見書」という書類や、「訪問看護指示書」というものもあります。介護保険制度は20年前にできたのですが、その前にはなかった仕事です。以前より書類の数は増えているのかも知れません。

医師の働き方改革で注目される「医師から他職種へのタスク・シフティング(業務移管)」

飯田)病院で働いている方を見ると、「医療事務」の方々もいらっしゃるではないですか。その方々の仕事とは別に、お医者さんご自身が出す書類があるのですか?

土谷)そういう書類を書いてくれる職種はあります。「医師事務作業補助者」です。その方々がいらっしゃる病院は仕事が楽に感じます。医者でなければならない仕事に集約してもらい、医者以外に他の人ができる仕事をカバーしてもらう。

飯田)医者としての仕事に集中できる。

土谷)ただ問題は、他の人がやると言っても、他の人も忙しいということです。医師事務作業補助者の人数が少ないのです。医師の働き方改革で「医師から他職種へのタスク・シフティング(業務移管)」が注目されていますが、人手が限られているので、思ったより進まないかも知れません。でも、進めていかなければならないということは間違いありません。医師が本業に集中できる環境を整えることが大事です。

人手不足のなか「医師から他職種へのタスク・シフティング(業務移管)」は実現できるのか ~医師の働き方改革

土谷明男氏、飯田浩司アナウンサー

患者への「インフォームドコンセント」

土谷)なぜ医者が忙しくなっているかというと、時間をかけなければならないことが前より増えているからだと思います。最近はあまり言われなくなりましたが、「インフォームドコンセント(十分な説明と同意)」という概念があります。

飯田)インフォームドコンセント。

土谷)いまはそれが当たり前になっているのですが、昔はそれほど丁寧に説明せず、簡単に手術や検査、治療をしていた可能性はあります。現在は単に説明するだけではなく、患者さんが納得できているのか、場合によっては患者さんのご家族も交えて、丁寧に手術・検査・治療にあたる。そういう時代になっています。

飯田)患者も理解しながら治療にあたるのがいいことなのは間違いないけれど、人手や時間が足りるかということですね。

1時間かけて医師が患者に説明しても医師への報酬は変わらない

土谷)あとはお金ですね。いまの診療報酬は、医者が行ったことに対しての報酬になります。ですから30分かけてお話ししても、1時間かけてお話ししても、医者の給料は変わらないですね。

飯田)点数は同じ。

土谷)そうです。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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