災害時、1人で避難できない「避難行動要支援者」をどう助けるか

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東京都医師会理事で河北総合病院・理事長補佐、心臓血管外科医の新井悟氏が5月26日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。災害時の避難行動要支援者の支え方について語った。

災害時、1人で避難できない「避難行動要支援者」をどう助けるか

※画像はイメージです

1人で避難することが困難な「避難行動要支援者」

飯田浩司アナウンサー)災害時の災害医療では、避難行動要支援者への優先度が高いということですが、避難行動要支援者とは、どういう定義なのでしょうか?

新井)避難行動要支援者の方たちは、高齢者や障害をお持ちの方で、「1人で避難するのが難しい方」と考えていただければよろしいかと思います。

飯田)そういう方々に対してのアプローチですけれども、名簿が自治体にあるのですね。

これまでも水害時には多くの高齢者が亡くなっている

新井)台風19号の際には、亡くなった方の65%が高齢者の方でした。また、熊本の豪雨災害のときには、79%が高齢者の方だったのです。

飯田)高い比率ですね。

新井)そこで、高齢者の方や障害をお持ちの方々を把握するために、「名簿をつくりましょう」ということになりました。国が「災害対策基本法」を改正して、市町村が名簿をつくることになり、現在、その名簿づくりが行われています。

飯田)名簿をつくるのは、対策の第1歩ということですか?

新井)「どこにどういう方がいらっしゃるか」を把握するという、まさに第1歩になります。その方の住所によって、どこに、どういう方法で避難するか。また避難先ではどのような準備が必要なのか、1人ひとりについて計画を立てているところです。

災害時、1人で避難できない「避難行動要支援者」をどう助けるか

新井悟氏、飯田浩司アナウンサー

災害時には、避難行動要支援者の名簿を共有して避難を助ける

飯田)避難行動要支援者には、1人で避難できない人が多いのですよね。

新井)そうですね。

飯田)そうすると、避難方法も「誰が」という話になるわけですか?

新井)助けていただける人たちをあらかじめ準備しておかなければいけませんし、支援する方たちが、どこにいらっしゃるかということを把握しなければいけないので、情報共有も大事になります。個人情報に関わるところではあるのですが、災害時には名簿を支援者の方が共有することについて、国も認めています。名簿を共有して、避難を支援することが可能になったのです。

訓練の際は名簿を持つ担当者の連絡先を共有

飯田)昔であれば、個人情報保護法や個人情報保護条例が壁になりました。「災害時は」とおっしゃいましたけれども、訓練のときはどういう運用になるのですか?

新井)訓練のときは実際の名簿は使わず、区市町村のどの係の方が名簿を持っているかという、その連絡先を共有して訓練に組み入れています。

飯田)なるほど。「誰が助けるか」という部分ですが、担当する方は行政の人たちだけでは手が回らないですよね。

新井)地区の医師会もそこに含まれますし、在宅医療の方々も含まれます。

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