「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
鉄道150年の2022年、東日本エリアの新幹線も節目の年を迎えています。3月の秋田新幹線25周年に続いて、6月23日には東北新幹線(大宮~盛岡間)が40周年、7月1日には山形新幹線(福島~山形間)が30周年を迎えました。これを記念して、沿線の駅弁屋さんからは、さまざまな記念駅弁が登場しています。今回は、東北新幹線の郡山駅で記念掛け紙の駅弁をいただきました。
東北新幹線40年&山形新幹線30年! 記念駅弁の旅(第1回/全4回)
東北新幹線(大宮~盛岡間)が開業40年を迎えました。開業当初は上野~大宮間に「新幹線リレー号」が運行され、通過駅のある「やまびこ」と各駅停車「あおば」の2種類。加えて11月の上越新幹線開業までは、毎時1本程度の暫定ダイヤで運行されました。これによって、上野~仙台間は約2時間45分、上野~盛岡間は約4時間で結ばれて、それまでの在来線特急「ひばり」などと比べ、大幅な時間短縮を実現しました。
東北新幹線は、昭和60(1985)年に上野、平成3(1991)年に東京、平成14(2002)年に八戸、平成22(2010)年に新青森と、28年の歳月をかけて、ようやく全線開業しました。この間に国鉄からJRに代わり、列車の愛称も「なすの」が生まれて、「あおば」は消滅。八戸開業では「はやて」が誕生しました。車両も緑と白の“初代”200系新幹線電車から、“2代目”となる平成9(1997)年デビューのE2系新幹線電車が主流になっていきました。
そして平成23(2011)年には、いまの東北新幹線の主役「はやぶさ」がデビューしました。車両も、最高時速300Kmを超える営業運転を可能にした“3代目”E5系新幹線電車に。平成28(2016)年からは、北海道新幹線への直通運転も始まりました。いまでは、最高時速320Kmで運行され、東京~仙台間が最速1時間30分、盛岡までは2時間10分、新青森までが2時間58分となり、新函館北斗までは3時間57分で結んでいます。
いまから40年前、東北新幹線の開業を記念して誕生した駅弁の1つに、福島県の郡山駅弁・福豆屋が製造する「小原庄助べんとう」があります。東北新幹線の車両が、200系、E2系、E5系と代替わりしたように、この駅弁も2度のリニューアルを経て、平成30(2018)年から「三代目小原庄助べんとう」(1100円)となりました。現在は、200系「やまびこ」が描かれた40周年の記念掛け紙となっています。
【おしながき】
(上段)
・焼鮭
・にしん昆布巻き
・えび磯辺揚げ
・豆みそ
・鶏肉の酒粕味噌焼き
・煮物(たけのこ・人参・椎茸)
・なめこそばの実和え
・手まり餅
(下段)
・しめじご飯 菜の花醤油漬けのせ
・白飯 刻み梅のせ
お酒大好きな福豆屋先代のお父様が開発した駅弁として知られる「小原庄助べんとう」。上段のおかずを酒のアテ、下段のしめじご飯を〆に、“お酒に合う駅弁”として作られたと言います。この詳しいエピソードは記念掛け紙にも記されており、駅弁に込められた思いを感じながらいただくことができます。列車内における飲食・飲酒中の会話は慎みながら、静かに老舗駅弁屋さんの味を楽しみたいものです。
東北新幹線では現在、緑と白の“初代”200系カラーを身にまとったE2系新幹線電車が東京~仙台間の「やまびこ」号を中心に1編成だけ運行されています。運行情報は前夜、JR東日本の「新幹線イヤー2022」の公式サイトで発表されており、タイミングが合えば、お目にかかることができます。次回も新幹線イヤーにふさわしい記念駅弁を求めて、東北新幹線を北上してまいります。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/