大切なあの方へ「ふるさとの味」を贈ろう! 駅弁ギフトとは?
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
コロナ禍以降、旅行需要の大幅な減少により、駅弁各社は、いままで以上に通信販売に力を入れています。その結果、遠隔地へのクール便での配送は、消費期限等の制約が大きいため、試行錯誤を繰り返しながら「冷凍駅弁」を開発してきました。今シーズンは、さらにそこから一歩進んで、駅弁を大切なあの方への「贈り物」として送ってみませんかと、提案する駅弁屋さんも増えてきています。
夏空の下、南アルプスをバックに、八ヶ岳の麓へと登っていく、小海線のディーゼルカー。小海線は、山梨・長野県境の清里~野辺山間で、JR線最高地点・標高1375mを通る“高原列車の旅”が楽しめる路線です。始発駅の小淵沢は、老舗駅弁屋さんの「丸政」が手掛ける「元気甲斐」や「高原野菜とカツの弁当」をはじめとした名物駅弁が目白押し。最近は、手軽に味わえる軽食駅弁の「そば屋の天むす」も評判を呼んでいます。
「丸政」でも、昨年(2021年)から、大手インターネット通販のシステムを活用して、駅弁の通信販売を始めています。取り扱っているのは、冷凍の「そば屋の天むす」。駅弁では、通常5個入りが1袋となっていますが、通販バージョンでは10個入りから40個入りまで4つのタイプが選べる他、化粧箱に入って包装された12個入り(贈答用、5000円)も登場しています。
水玉模様の包装紙を開けると、白い化粧箱に個別包装された冷凍の「そば屋の天むす」がズラリと現れました。いつもは、東京駅等で朝食代わりに気軽に手に取ることも多い「そば屋の天むす」ですが、こうしてきれいな箱に入って家に届くと、とても嬉しくなりますね。しかも、冷凍の個別包装なので、食べたいときに1つずつ食べられるのが、ありがたいもの。これは小腹が空いたときに重宝しそうです。
冷凍駅弁のカギは「解凍方法」。手軽さを追求してシンプルにするか、それとも、駅弁の美味しさを再現するのに“こだわり”を作るか、各社の試行錯誤が感じられるところです。「そば屋の天むす」は何と! 凍った袋の包装のままポンとレンジに入れて、500Wで1分(1個の場合)加熱するだけ。この手軽さは冷凍駅弁のなかでも群を抜いています。夏の食欲が落ちる時期でも、小粒の天むす1個なら軽くお腹に溜まりますね。
八ヶ岳の清流を使って丁寧に炊き上げられたご飯に、海苔1枚1枚、きくらげにもこだわって作り上げられている「そば屋の天むす」。冷凍することで、その出来立ての美味しさをギュッとそのまま閉じ込めて、我が家で楽しめるようになりました。加熱していただくことや、家で落ち着いていただくことで、いつも以上にご飯をはじめ、食材の美味しさを、じっくりと感じられます。これはもらって嬉しい贈り物ですね。
冷凍「そば屋の天むす」は、丸政がある山梨県北杜市のふるさと納税に対応したものもあるのが特徴。従来から駅弁屋さんが駅弁ギフトや関連商品を手掛ける例は、横浜や富山をはじめとした、大きな駅弁屋さんでは見られましたが、コロナ禍をきっかけに、他の駅弁屋さんにも、さまざまな形で広がりを見せています。夏休みまでもう少し。夏の贈り物はもちろん、旅の“予習・復習”を兼ねて、駅弁を取り寄せてみるのもよさそうです。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/