東京都医師会理事で「セントラルクリニック」院長、日本内科学会総合内科専門医の蓮沼剛氏が8月23日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。肺がんの種類と治療方法について解説した。
「非小細胞肺がん」……「扁平上皮がん」「腺がん」など
飯田浩司アナウンサー)今回も肺がんについて伺います。「肺がん」と言うと、我々は肺にがんができる病気なのだなと思うのですが、肺がんのなかでもいろいろと違いがあるのですか?
蓮沼)かなり種類があります。一般に肺がんと呼ばれるのは、非小細胞の肺がんが一般的な定義です。
飯田)非小細胞。小細胞ではない。
蓮沼)小細胞があるわけですけれども、小細胞がんというのは非常に進行が早くて、昔はかなり予後が悪いがんでした。
飯田)初めて聞きますが、どういうものなのですか?
蓮沼)非小細胞がんですが、主に気管支にできるものだと、気管支は扁平上皮で構成されているので、「扁平上皮がん」ができます。肺の末梢にできるのは「腺がん」です。両方ともたばこが関係します。
飯田)かなり違うということなのですけれども、進行のスピードが違うのですか?
蓮沼)そうですね。昔、私が研修医のころだと、小細胞がんはよく5年生存率というものがありました。5年経つ前にみんな亡くなってしまうのです。1年~2年で亡くなる方が多くいらっしゃいました。
かつては5年以内に亡くなることが多かった肺がん
飯田)一方で一般的な非小細胞がんであれば、そこまで進行が早くないということですか?
蓮沼)ものにもよりますが、同じ腺がんでも進行が早いものと遅いものがあります。昔はどうしても手術で取り切れず、内科に回ってくる患者さんには化学療法を行ったり、放射線治療をしていましたが、やはり昔は5年以内に亡くなる方が多かったです。
肺がんの治療薬として注目される「分子標的薬」と「免疫チェックポイント阻害薬」
新行市佳アナウンサー)現在はいかがですか?
蓮沼)いまは遺伝子を調べる検査がかなり進歩してきて、診断をつけるときにまず、組織の遺伝子を調べます。そうすることによって最適な治療がわかるのです。
飯田)遺伝子を調べることで。
蓮沼)一般的には外科治療や放射線治療、化学療法などがありますが、薬物療法のなかで最近、特に注目を浴びているのが「分子標的薬」と「免疫チェックポイント阻害薬」というものです。
飯田)どのようなものでしょうか?
蓮沼)副作用はいろいろとあるのですけれども、それも予後が改善されていて、昔に比べると同じがんでも皆さん、かなりよくなっています。しかし、残念ながら完治することは難しいと思います。
飯田)病気と付き合っていくしかない。お薬をずっと飲み続けるということになるのですか?
蓮沼)そうですね。
肺腫瘍のなかに良性腫瘍とがんがある
新行)腫瘍に「悪性か良性か」という言葉がありますが、肺がんの場合はどうですか?
蓮沼)肺がんの場合は既にがんですので、全部悪性です。
飯田・新行)全部悪性。
新行)肺がんができたら全部悪性ということですか?
蓮沼)肺がんは、肺腫瘍のなかに良性腫瘍とがんがあるというようにお考えください。
飯田)それは細胞検査でわかるのですか?
蓮沼)診断をつけるためには、ある程度の大きさの肺の結節、かたまりから気管支鏡という道具を使い、組織を凍らせながら採取して、それを遺伝子検査にかけます。その際、持ってくる量が少ないと検査結果が十分に出ません。そこはまだ、改善の余地があると思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます