鉄道150年、この秋は「復刻駅弁」が面白い!
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
いよいよ10月14日で、日本の鉄道が150年を迎えます。これを記念して全国の多くの駅弁屋さんが歩調を合わせて「復刻」をテーマにした駅弁を発売しました。掛け紙にこだわった駅弁屋さん。中身の細かい点まで復刻にこだわった駅弁屋さん。「復刻」1つにも、それぞれの駅弁屋さんの個性が溢れていて、大変興味深いものです。今回はその1つ、三重・松阪の駅弁屋さんに立ち寄ってみました。
名古屋と紀伊勝浦を結ぶ特急「南紀」が、2両編成で三瀬谷の鉄橋を渡っていきます。三瀬谷は大台ケ原の玄関口。今は無人駅になってしまいましたが、1日4往復の特急「南紀」も、全ての列車が停まります。昭和元(1926)年12月築とされる木造駅舎も健在。にぎわいは近くの“道の駅”には敵いませんが、駅待ちタクシーに駅前食堂や駅前旅館もあって、少し懐かしい雰囲気を感じられました。
いまでこそ紀勢本線非電化区間の特急列車は、2両編成が基本となってしまいましたが、50年前の鉄道100年のころは、紀伊半島を1日かけてぐるりと巡る名古屋~天王寺間の特急「くろしお」が運行されており、食堂車も連結されていました。「京都鉄道博物館」に保存されている“ブルドッグ”と呼ばれ親しまれた先頭車が充当される列車もあったそう。この車両が三瀬谷の鉄橋を渡る風景を見てみたかったものです。
そんな歴史を紐解きたくなってしまう駅弁が、10月1日から登場しています。松阪駅弁・新竹商店の「元祖特撰牛肉弁当 復刻パッケージ」(1500円)。日本鉄道構内営業中央会加盟の駅弁屋さん31社が参加した鉄道150年を記念した「復刻駅弁」の取り組みで、新竹商店ではディーゼルカー時代の「くろしお」が描かれた昭和50年代前半の掛け紙を“復刻”しました。
新竹商店によると、この掛け紙はお店には残っておらず、京都鉄道博物館に収蔵された掛け紙を元に“復刻”したと言います。ただ、展示されていた掛け紙は、電車の「くろしお」。その後、電車のまま「南紀」と改められた掛け紙も存在していたそうで、「当時は、あまり細かいことにこだわらなかったのかも知れません」と新竹社長も苦笑い。今回、満を持して、ボンネットの「くろしお」となり、「3代かけてようやく完成形にできました」と胸を張ります。
【おしながき】
・白飯(三重県産コシヒカリ)
・黒毛和牛ステーキ風
・ポテトフライ
・かまぼこ
・ごぼう
・れんこん
・昆布しぐれ煮
・香の物
「元祖特撰牛肉弁当」をはじめ、企画に参加している31社の復刻をテーマにした駅弁を購入すると、日本鉄道構内営業中央会と横浜開港資料館のコラボで、資料館収蔵の歌川広重(3代)の錦絵「横浜海上蒸気車鉄道之図」をデザインしたミニクリアファイルが数量限定でプレゼントされます(駅弁に封入の業者もあり)。また、ファイルの提示で横浜開港資料館に割安な団体料金で入館できるプチ特典もあります(2023年3月31日まで)。
この50年で新幹線網は広がり、JRになってからも35年。国鉄時代のような鉄道風景はだいぶ少なくなりましたが、自分の足で歩けば、その名残りを感じさせるところもあります。鉄道網の広がりと縮小、鉄道技術と快適性の進歩など、150年のさまざまな日本の鉄道の歴史に思いを馳せたいこの秋。懐かしさを感じさせる復刻駅弁と一緒に、山へ海へ街へ、鉄道の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/