本格派の盛岡じゃじゃ麺が、加熱式容器で、ついに岩手の駅弁に!
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
冷めてもおいしいが基本とされる駅弁で、各社さんが試行錯誤を繰り返しているのが麺類。とくに小麦を原料とする麺は、冷めたときに美味しい食感を保つのが難しく、新たな開発と撤退を繰り返してきました。そのなかで、岩手唯一の「駅弁マーク」を冠する老舗駅弁屋さんが、満を持して盛岡三大麺の1つに数えられる「盛岡じゃじゃ麺」の新作にチャレンジ。今年(2022年)で登場35年を迎えた加熱式容器と共に、駅弁の歴史に新たな1ページを加えます。
初冬に入ってきた北東北。岩手県の県庁所在地・盛岡市からは、先日、初雪のたよりも届きました。雪の多い地域の皆さんは、マイカーのタイヤ交換などに追われる時期でしょう。そして、朝夕の通勤・通学等で、鉄道を利用される方も、ドアが開いたときの冷たい風が、だんだんと体に堪えるようになりますね。やっぱり、寒い時期は、紐を引き抜いて温まる、加熱式駅弁が恋しくなるものです。
そんな冬の到来に合わせて、今年(2022年)11月から、一ノ関駅・盛岡駅など、岩手の駅弁販売駅に登場した、新しい加熱式駅弁が「盛岡じゃじゃ麺と牛めし弁当」(1500円)。わんこそば、冷麺と並んで盛岡三大麺の1つに数えられる「盛岡じゃじゃ麺」が、ついに「駅弁」になりました。製造する一ノ関駅弁・斎藤松月堂によると、スリーブ式の包装は、暖簾からのぞく岩手山とべこを引く牛飼いの絵で岩手のノスタルジーを表現したそうです。
【おしながき】
・じゃじゃ麺(太麺・肉みそ)
ししとう 紅生姜
・牛めし(ご飯、牛肉煮)
椎茸煮、ごぼう煮、きゃらぶき
紐を引き抜いて約5分、蓋を開ければ湯気と一緒に、牛めしと肉みそのいい香りがフワッと立ち上りました。自家製の肉みそは、ピリ辛の本格派で太麺と絡んでいい味わい! 加熱式容器が太麺のもちもち感を引き出しています。従来から一部駅弁のおかずとして、ひと口の量で「じゃじゃ麺風」と銘打って提供していましたが、温度と味が課題だったそう。今回は自慢の牛めしと組み合わせ、2つの味で飽きの来ない駅弁に仕上げたと言います。
ちなみに、牛めしにもきゃらぶきを加えるひと工夫が施されているこちらの駅弁。一ノ関の駅弁屋さんが“盛岡”を冠する弁当を販売することに葛藤もあったそうですが、岩手県内で、「駅弁マーク」が入った駅弁を製造しているのは斎藤松月堂のみということもあり、盛岡の味に寄り添いながら、胸を張って送り出しているとのこと。現在は、一ノ関駅・盛岡駅での販売ですが、いずれは首都圏でもお目にかかる機会が増えてきそうな予感もいたします。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/