パワハラによる精神的な病で休職した場合、どのような過程で復職できるのか

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東京都医師会広報委員で「石井メンタルクリニック」院長の石井一平氏が11月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。復職中における給与や、復職時に確認するべき手順について語った。

パワハラによる精神的な病で休職した場合、どのような過程で復職できるのか

※画像はイメージです

傷病手当金

飯田浩司アナウンサー)今回もパワーハラスメントについて伺います。一家を支える収入源として働いている方も多いと思います。休職を考えたときに、「でも自分が稼がないといけないから休めない」と考える人もいると思いますけれど、休職となった場合の給料などはどうなるのでしょうか?

石井)休職するとなると、気がかりなのは経済的な問題です。休職中の給料は、会社によって少し異なります。ご本人の有給休暇が余っていて、ご本人がそれを使ってもいいという場合には、有給消化として休職する場合がありますし、会社が独自に別の病気休暇制度などを整備しているところもあります。休職中は健康保険組合から給料の3分の2程度が支給される、傷病手当金という制度があります。

飯田)傷病手当金。

石井)医者の診断書が必要なのですけれども、通院すれば初診日から証明することができますので、それ以降、一定の期間は傷病手当金がもらえるようになります。

飯田)その分はある程度、保障される部分があるのですね。

最終的には上司が職場に「復帰できるか」どうかを判断

飯田)休職しながら回復をはかることになるわけですね。その先、復職するまでは、どのような手はずを整えていくことになりますか?

石井)まずはご本人がよくなることが1つですけれども、職場環境の調整もまた大事です。ご本人の体調に加えて、職場環境の改善を合わせて考えなければなりません。休んでいる間に、ご家族や周りの方、医者がお手伝いして、「症状が回復してきた」とご自身で自覚できることが大事です。

飯田)自覚できることが。

石井)次に主治医が「病状が回復した」と確認できることが大切です。またご本人や主治医以外に、ご家族や職場の上司などが「健康状態が確かによくなったな」と確認できることも大事です。

飯田)家族や職場の上司も。

石井)職場環境が改善したかどうかも、確認できるまでに2~3ヵ月かかる場合が多いですが、短くなる場合もありますし、少し長くなる場合もあります。「よくなった」ということをご本人や主治医が確認するだけでなく、上司も確認しなければなりませんので、上司として短時間の面接を行い、「よくなっているね」と様子を見る。あるいは医者の診断書でよくなったと言われているけれど、上司としては「本当にいいのかどうか」が心配だと思います。

パワハラによる精神的な病で休職した場合、どのような過程で復職できるのか

石井一平氏、飯田浩司アナウンサー

復職プログラム

石井)復職を判断する前に、「復職プログラム」を使うこともあります。大企業では、企業独自の復職プログラムを実施することもあります。会社に来ていただいて、少し様子を見る。新聞や雑誌を読むだけでもいいですし、通勤してある一定の時間、「安定してよい状態で過ごせるのか」を確認するために、復職プログラム、または「試し出社」を行って復職を決める場合もあります。

飯田)いきなりフルタイムではなく、仕事はまだせずに、とりあえず会社に出勤するということですか?

石井)そうですね。医者の診断書などを参考にして社長が決めるわけですけれども、社長が決めれば即フルタイムではなく、勤務軽減を短い期間、試してから戻っていただくことになります。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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