駅弁大会だからこそ楽しみたい! 「食べくらべ」の魅力とは?
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
駅弁大会と聞くと「お薦めは?」と、しばしば訊かれます。でも、ちょっと待ってください。さまざまな駅弁屋さんが出店しているということは、自分の舌で、簡単に食べくらべができる機会でもあります。百貨店が提案してくれたテーマに乗って食べくらべるもよし、自分の頭を使ってオリジナルの味わい方を見つけるのも楽しい時間です。今回は共に明治創業の老舗駅弁屋さんが手掛けた、「真鯛」の寿司駅弁を食べくらべてみました。
京王百貨店新宿店「第58回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」見て歩き(第2回/全5回)
山陽・九州新幹線直通の「みずほ」号が加古川橋梁を渡っていきます。停車駅の少ない「みずほ」なら、新大阪~鹿児島中央間は最速3時間41分で結ばれています。もちろん、関西から九州まで一気に移動するのもいいですが、せっかくなら途中下車を繰り返して、ご当地名物をいただきながら、移動するのも贅沢な旅というもの。時間とお金があれば、一度は試してみたいと思う方も多いことでしょう。
ご当地の味をあれこれ食べてみたい皆さんにとって有難い存在が、百貨店の「駅弁大会」。京王百貨店新宿店で開催中の「第58回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は、その代表的な存在です。駅弁大会のいいところは、同じようなテーマで作られた駅弁でも、駅弁屋さんの技やご当地の食文化によって、違った味が楽しめること。敢えて同じ食材の駅弁を一緒に買い求めて「食べくらべ」るのも、駅弁大会の楽しみ方の1つです。
明治21(1888)年創業で、兵庫県の姫路を拠点に駅弁を製造する「まねき食品」は今回、新年らしく「おめで対決」と銘打ち、真鯛を使った「瀬戸内真鯛 匠 鯛ちらし」(2160円)を実演で販売しています。
第45回大会で人気を博した「鯛寿司」を、令和仕様にバージョンアップ。昆布〆の真鯛の上には柚子が載って、ふたを開けた瞬間から、柑橘系の香りがフワッと広がり、食欲をそそります。
これに相対するのは、明治24(1891)年創業、静岡県・沼津を拠点に駅弁を製造する「桃中軒」。桃中軒は、かつて販売した「二色まぐろ重」以来、14年ぶりの実演に参戦。味わいのポイントは、“〆すぎていない鯛”なんだそう。
みかんも特産で、伊豆の玄関口の沼津らしく、だいだい酢とわさび葉の香りも楽しめます。そして何より、桃中軒の十八番、自分ですり下ろす「わさび」も入っているのが嬉しいですね(桃中軒の実演は1/15まで)。
同じ「真鯛」という魚を使っているのに、全く違う味わいに仕上がっている2つのお寿司。三島~姫路間は、新幹線「ひかり」に乗れば、およそ3時間で移動することが可能ですが、駅弁を食べ比べるためだけに移動するという方は皆無に近いと思います。そんな「食べくらべ」が簡単に楽しめてしまうのが駅弁大会。富士山と瀬戸内の海を思い浮かべながら、ともに明治20年代創業の老舗駅弁屋の味を、じっくり味わってみてはいかがでしょうか。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/