東京都医師会副会長で「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が1月18日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。女性特有の「うつ」について語った。
女性特有の「うつ」 ~月経前不快気分障害(PMDD)・産後うつ・更年期うつ
新行市佳アナウンサー)女性特有の「うつ」には、どのような症状があるのでしょうか?
平川)女性特有のうつ症状の代表としては、月経前不快気分障害(PMDD)、産後うつ、更年期うつ。これらが代表的な3つの女性特有のうつ症状です。
生理が始まる2週間くらい前から体調や心の調子が不安定になる状態 ~「月経前症候群(PMS)」
平川)生理が始まる2週間くらい前から体の調子、心の調子が不安定になってきて、とても辛い状態を「月経前症候群(PMS)」と呼びます。なかでも特に心の不安定さが際立って出てしまう場合、「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断します。
新行)PMSは最近よく耳にする機会が増えましたが、PMDDは初めて知りました。
平川)PMDDは、抑うつ気分、不安・緊張感、情緒不安定、怒り・イライラの4つが主症状です。その他にも過食や拒食など食行動の変化や、睡眠障害が現れることがあります。状態や原因については、まだ完全にわかっていないような病気です。
本人には悪意がなくても周囲に影響を与える場合も ~自分ではコントロールできない
新行)通常であればイライラしないところでイライラしてしまったり、無性にご飯が食べたくなったり、もしくはその逆の場合もあります。それが社会活動や人間関係に支障をきたすようになってくると、PMDDに該当するということですか?
平川)おっしゃる通りです。本人には悪意がないのですけれど、周囲に影響を与える場合もあります。自分でも「あれ? 少しテンションが高いな」とか、「イラついているな」と気付くと思うのですけれどね。
新行)自分でコントロールできないのですね。
平川)残念ながらそういうことになります。
PMDDの治療
新行)PMDDの治療はどのように行うのですか?
平川)婦人科では、女性ホルモンの変動で症状が出るものですから、変動の振れ幅を少なくする目的で、低用量ピルを使って治療する場合があります。最近は新しいタイプの低用量ピルが出ていて、効果もあるようです。
新行)薬を使わない治療はあるのですか?
平川)ストレスを感じると起こりやすいので、「どのようなストレスが掛かっているのか」を自分で意識し、適度な運動やリラクゼーションを行うのもいいと思います。
新行)「PMS」という言葉をよく耳にするようになってきて、「自分だけではないのだ」とほっとすることもあります。認知が広がることによって、多くの人が理解を深めていくことも大切なのでしょうか?
平川)特に治療の要するものをクローズアップしていくということで、婦人科の治療もありますし、気分や感情が大きな影響を与えているものは、精神科からの治療も必要だと思います。
「PMDDかも知れない」と思った場合は精神科でも婦人科でもどちらに行ってもいい
新行)「もしかしたら自分はPMDDかも知れない」と思った場合は、精神科と婦人科のどちらに行った方がいいですか?
平川)どちらでもいいと思います。先生の判断で、「これは婦人科的なものに偏った治療の方がいい」という場合もありますし、逆に婦人科の先生が「これは婦人科ではなく、精神科領域の方がいいのではないか」と思えば、精神科を紹介することもあります。窓口はどちらでもいいと思います。
新行)横断的に治療していくこともあるのですね。
平川)私の患者さんでも、ペアになって婦人科の先生とタイアップしながら治療している方もいます。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます