「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
1つの色に染まった風景は美しいものですが、さまざまな色が広がる風景も美しいものです。各地で見ごろを迎えている梅の花は、紅白2つの色が織りなす風景が綺麗ですね。この梅の花と列車を一緒に楽しめる場所といえば、何といっても日本三名園の1つ・偕楽園。その前を走る常磐線の列車も、最近、色とりどりの列車が運行され、話題となっています。いろいろな味わいが楽しめる水戸の新作駅弁をお供に、春の水戸へ出かけました。
梅が見ごろを迎えた水戸・偕楽園の前に、常磐線の特急列車が差し掛かりました。例年、この時期は、定期列車の「ひたち」「ときわ」に加えて、各地からの臨時列車も走ります。今年(2023年)は、週末に仙台・大宮・八王子・千葉(蘇我)からの列車が運行されて、特に都心の面倒な乗り換えをスルー、乗り換えなしの列車として重宝されているようです。なかには、国鉄風の塗装が施された列車も走り、沿線も賑わいました。
偕楽園には例年2~3月の週末に臨時駅が開設されています。今年は3月26日(日)まで9:10~16:35の営業が予定されています。下り線だけにホームがあるのが特徴で、営業中は、水戸・いわき方面行の下り列車が特急を含めて全て停まります(Suica利用可)。なお、東京へ帰る場合は、下り列車に水戸まで乗車してから上りに乗り換え、あるいは、駅前から運行されている路線バス等で、水戸駅へ向かうこともできます。
水戸駅では、駅構内のNEWDAYSで駅弁の販売があります。梅まつりの時期は店頭にも特別に陳列棚が設けられていて、お祭りの雰囲気を感じます。そんな売り場で見つけた新顔駅弁は、しまだフーズが製造する「あさりごはんと釜揚げしらす弁当」(1100円)。昨年(2022年)9月17日に発売された、茨城プレデスティネーションキャンペーンに合わせた新作です。茨城県ではこの秋、JRと自治体による観光キャンペーンが予定されています。
【おしながき】
・あさり炊き込みご飯
・釜揚げしらす
・辛子明太子
・わさび菜漬け
・蓮根さつま揚げ
・玉子焼き
・煮物(椎茸、人参)
・桜漬け
茨城県産コシヒカリを使用して炊いたというあさりご飯の上に、わさび菜・きくらげの佃煮を敷き詰め、その上にたっぷりの茨城県産の釜揚げしらすが載った「あさりごはんと釜揚げしらす弁当」。もともと、味わいのいいしまだフーズのしらすご飯ですが、ピリ辛の明太子やわさび葉、心地いい歯ごたえのきくらげが脇を固めることで、いろいろな“味変”と彩りが楽しめる、飽きの来ないつくりが嬉しいですね。
さまざまな色の梅が楽しめる偕楽園ですが、常磐線特急も、この秋の茨城デスティネーションキャンペーンに合わせて、以前運行されていた「フレッシュひたち」のリバイバル塗装が施された編成が運行されており、秋ごろまでに5種のカラーが登場する予定です。ちなみに、この日、特急「ときわ」としてやって来た紅色は、“梅と好文亭”がテーマです。さあ春本番、いろいろな花・列車・駅弁と一緒に、水戸への鉄道旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/