「7時間睡眠が最適」とは限らない 専門家が解説、あなたの“必要睡眠量”の調べ方

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3月15日(水)、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の櫻井武先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)にゲスト出演。「睡眠」をテーマに、寝たいのに眠れなくなる仕組み、自分の最適な睡眠時間を調べる簡単な方法について解説した。

「7時間睡眠が最適」とは限らない 専門家が解説、あなたの“必要睡眠量”の調べ方

夜中に目が覚める、すっきり目覚められないなど睡眠に関する悩みがあったり、「今日も眠れないんじゃないか」という不安を抱えていないだろうか。人は「眠れない」ことが大きな関心ごとになるほど、眠ることへのプレッシャーを感じるようになり、そして皮肉なことに、もっと眠れなくなってしまう。本来は、眠れないことを意識しない、睡眠にこだわりをもたないことが、もっとも効果的な快眠法だという。

■「不眠症」とは

笹井:まずは不眠症の定義についてご紹介すると、「週の半分以上不眠があり、それが3か月以上続く場合」です。

櫻井先生:これは国際的にも決められているものなんですよ。

笹井:こうした「不眠症」の場合、かかりつけの先生に睡眠薬を処方してもらう方がいいのでしょうか?

櫻井先生:できれば、睡眠障害の専門医に、詳しい先生にかかった方がいいと思います。

■眠れなくなる仕組み

櫻井先生:「眠れない」というのは、やっぱり苦しいことです。そういう苦しい体験は、どちらかというと「不安」に結びつくんです。それで、不眠自体が不安になってしまう。不安になると、脳の感情を司る場所「大脳辺縁系」が、「寝ている場合ではない!」と判断し、「あなたは起きていなさい!」という命令が出るわけです。

笹井:では、仕方がないということですね。

櫻井先生:そうですね。翌日に“明確な不安のもと”があるならば、眠れないのは仕方がないんですね。

笹井:だから睡眠に固執し過ぎると、ますます眠れなくなるということですね。

櫻井先生:眠れないことが不安になることは、すごく皮肉というか……。

笹井:負のスパイラルにはまってしまいますね。

櫻井先生:睡眠というのは、きっちり毎日同じように取らなくてはいけない、というわけではないんです。もちろん規則正しい生活をするのが一番大切ですが。翌日に何かイベントがあったり、大切な仕事があったり、なにか嫌な事が待ち構えているとなったら、誰でも眠れません。

笹井:そうですよね、なかなか眠れませんよね。

■「みんな7時間は寝たほうがいい」は間違い

笹井:よく言われている「誰でも7時間は睡眠をとったほうがいい」という話について、一概に言えないそうですね?

櫻井先生:7時間睡眠が勧められたのは、「7時間寝ている人が一番長生きをする」「病気が少ない」などという話が広まったからです。ですが、必要睡眠量には個人差があります。

男性は何カロリー取った方がいい、女性だったら何カロリー取った方がいいとか、そういう話と一緒で、運動する人や体が大きい人・小さい人などいろいろいますよね。一概に言えないわけです。

睡眠が5時間で足りる人もいれば、10時間寝ないといけない人もいるし、年を重ねると睡眠必要量は少なくなります。だから、一概に誰もが7時間というのはすごく乱暴な言い方です。「男性だったら2,500カロリー取らないといけない」と言っているような感じです。

笹井:睡眠が足りているかどうかのポイント、見極め方はありますか?

櫻井先生:「昼間に眠くならない睡眠量」が必要なのです。

笹井:昼間に、しっかり目覚めていられれば大丈夫ということですね。

櫻井先生:そういうことです。ただ、今の人、特に日本人は睡眠が足りていない傾向で、昼間に居眠りをしている人や電車で寝てしまう人が多く、それは睡眠が足りていない、ということです。本当に睡眠が足りていたら昼間に眠くならないはずです。

そしてもう一つ、週末に“寝だめ”をする人がいますよね。それは「ウィークデーの睡眠が足りていない」ということです。

笹井:だから、週末になると昼まで寝てしまうんですね。

櫻井先生:休日もいつもと同じような時間に起きられて、昼間もずっと起きていられるのであれば、睡眠が足りているということです。そうすると、ほとんどの方が自分は睡眠時間が足りていないな、と思うかもしれないのですが……。

笹井:休みの日に目覚ましをかけずに寝て、確認してみるといいかもしれませんね。

櫻井先生:そうですね。休みの日も同じ時間に起きられたら、「十分な睡眠が取れている」と考えて良いと思います。

■「睡眠の質」とは

櫻井先生:「睡眠の質」という言葉をよく聞きますが、なにをもって「質」と言っているのか。質が良ければ睡眠時間は短くて大丈夫、というイメージがあるかもしれませんが、それはないです。

必要睡眠量はやはり個人個人で決まっているんです。だから、睡眠時間をなんとかして短くできるかと聞かれたら、できないと思った方がいいです。

笹井:やはりシンプルに「日中起きていられるか」が大事で、それが睡眠の質がいい、ということですね?

櫻井先生:はい、そういうことになります。

またこの他にも番組では、適切な昼寝の長さ、「睡眠は90分周期」と考えることを“勧めない”理由、「レム睡眠」「ノンレム睡眠」などについて解説した。

Podcastでの聴取はこちらから。

番組情報

ドクターズボイス

毎週水曜日 21:00〜21:20

番組HP

「週刊文春 老けない最強食」の著者・笹井恵里子がパーソナリティを務める番組「徳洲会グループpresents ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」
この番組は「生命(いのち)だけは平等だ」の理念のもと全国70以上の医療機関を有する徳洲会グループのサポートでお送りします。
毎週ホットなテーマを設け、各専門分野のドクターをゲストに迎えて、そのメカニズムや対処法を分かりやすく伝えていきます。
番組では、感想や取り上げて欲しいテーマなどお待ちしております。

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