災害時の医療体制 AMATの役割
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東京都医師会救急委員会委員長で「平成立石病院」院長、救急科医師の大桃丈知氏が5月30日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。AMAT(全日本病院医療支援班)について解説した。
AMAT(全日本病院医療支援班)
飯田浩司アナウンサー)DMAT(災害派遣医療チーム)は阪神・淡路大震災がきっかけでつくられたそうですが、AMAT(全日本病院医療支援班)の方はどんなチームなのでしょうか?
大桃)現在、日本には大体8200ヵ所ぐらいの医療機関がありますが、AMATの出身母体は、そのなかの約2500病院が会員となっている全日本病院協会です。もともと互助の精神でつくられたもので、遡ると、2000年に有珠山の噴火がありました。
飯田)北海道の。
大桃)そのときに互助の精神として、当時はAMATの前身である「災害時医療活動支援班」と呼ばれていましたが、こういったチームを派遣しています。
AMATがつくられた経緯 ~隊員育成のための研修を年2~4回実施
飯田)2000年からと考えると、もう20年以上経つのですね。その間には、さまざまな災害がありました。特に記憶に残っているのは2011年の東日本大震災だと思いますが、災害ごとにさまざまな派遣が行われてきたのですか?
大桃)東日本大震災のときに、いろいろな病院から全日本病院協会の医療活動支援班と名乗るチームが被災地のなかで活動したのですが、共通のプログラムで教育していたわけではないので、チームによってかなり実力に差がありました。
飯田)実力差があった。
大桃)あるいは、「すべてのチームが災害に対して見識を持っていたわけではない」ということが表面化したのです。お褒めの言葉も頂戴したのですが、「最低限の共通認識は持っていなければいけない」と、みんなで考えました。そしてAMATという教育プログラムを、DMATの先生方にご協力いただいてつくりました。現在は、DMATの先生方につくっていただいた研修プログラムを年に2回~3回、多いときは4回くらい開催し、隊員の養成に努めています。
常に最新の知識を教育するプログラムの研修を継続
飯田)AMATに所属するお医者さんたちも、普段は通常医療を行っていらっしゃるわけです。そこから災害に対応するとなると、気持ちや認識を変えなくてはいけない部分が出てくるのですか?
大桃)そうですね。ただし、最近は地震も増えており、我々自身も被災地のなかの医療班になってしまう可能性は常にあります。その心構えを持ち、少なくとも他人事として考えるのではなく、万が一のときは自分たちが自分たちの地域を支えなくてはいけません。
飯田)そうですよね。
大桃)そして、日本のなかで困っている病院があれば、その病院を助けに行かなくてはいけない。そういう意識を常に持って医療に臨んでいく姿勢を教育させていただいているところです。
飯田)なるほど。
大桃)現在はDMATやAMATを含め、日本医師会がいま持っているJMAT(日本医師会災害医療チーム)という組織でも、隊員の養成研修プログラムをつくっています。DMATに関しては、それをさらにブラッシュアップするように、常に最新の知識を教育するプログラムをつくり、毎月、日本のどこかで研修会が行われています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます