胸が急に痛くなったら「何科」へ行けばいい?
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東京都医師会理事で「河北総合病院」理事長補佐、心臓血管外科医の新井悟氏が6月26日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。心血管疾患に関する診断や治療方法について語った。
心臓外科領域は先細り市場なのか
飯田浩司アナウンサー)今回は「心臓血管外科医」という仕事について伺います。心臓に病を抱えた患者さんに特化し、昔から花形医師などとも言われますが、お話を伺うにあたっていろいろ調べたら、「心臓外科領域は先細り市場だ」というような記事がありました。先細り市場なのでしょうか?
新井)見方によっては、そうおっしゃっている専門の先生もいると思いますが、手術数全体で見ると、日本国内では少しずつ増えてきています。コロナ禍になる前のデータですが、だいたい年間6万9000人くらいの方が心臓や大血管の手術をされており、急激に減ってきているわけではありません。
飯田)激減しているわけではない。
新井)中身をよく見てみると、人口の高齢化とともに大動脈の病気、弁膜症の方などが増えてきています。
薬やカテーテル治療の進化で手術せずに済む患者が増えてきた
新井)一方、狭心症や心筋梗塞で手術にまわる方は、少し減ってきています。
飯田)手術にまわる方が減っているというのは、どういうことですか?
新井)1つは、動脈硬化の予防治療が進んでいることが挙げられます。いまはコレステロールや糖尿病に対し、よい薬が出ています。糖尿病は動脈硬化の大きな原因になりますから、そういう薬が出てきて動脈硬化が進みづらくなった背景があります。
飯田)いい薬が出てきた。
新井)また、カテーテル治療が年々進んでおり、わざわざ心臓外科で手術しなくても済む方が、10年前の6割くらいになってきています。
飯田)ここ10年でそれだけ進歩があったのですね。
胸が苦しくなった場合は循環器内科へ行く
飯田)例えば胸が苦しくなった場合は、どこへ行けばいいのですか?
新井)まずは循環器内科で検査し、その病気が弁膜症なのか、狭心症なのか動脈瘤なのかを診断しなくてはなりません。
飯田)循環器内科で検査する。
新井)診断がついたら、次は軽症なのか、中等症なのか重症なのかを診断する必要があります。中等症、重症で治療が必要な場合、この患者さんにはどんな治療が適切なのかを決めていきます。そういう手順で治療が進みます。
「ハートチーム」での治療
新井)治療が必要と診断されて入院した場合、いまは「ハートチーム」が病院内にできています。
飯田)ハートチーム?
新井)基本的には循環器内科や心臓外科、あるいは麻酔科などが入ります。この患者さんにはカテーテル治療がいいのか、心臓外科で手術をした方がいいのかなど、カンファレンスして決めていくのです。大きな病院はそういう形で進んでいくと思います。
飯田)カンファレンスというのは、打ち合わせという意味ですか?
新井)そうですね。「症例検討」と言ってもいいかも知れません。
飯田)1つの科ではなく、ハートチームにいろいろな先生が入って行うのですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます