「伊達×上杉」の食文化&「やまびこ×つばさ」の鉄道文化を駅弁で!
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
山形新幹線「つばさ」が発着する奥羽本線・米沢駅は米沢市の玄関口。米沢には、安土桃山時代まで伊達氏の居城があり、江戸時代以降は仙台へ移りました。一方、米沢は、江戸時代以降、上杉氏が治め、さまざまな文化が育まれていきました。そんな米沢の歴史を頭の片隅に置きながら、肉と魚を一緒に味わえる新作駅弁が、この夏、登場しています。
東北新幹線を一緒に駆け抜けていく「やまびこ」号と「つばさ」号。東京~福島間は長い17両編成で運行し、福島で前寄り7両の「つばさ」号が、先に発車して奥羽本線(山形新幹線)へ入っていきます。後ろ10両の「やまびこ」号は、そのまま東北新幹線を北上、仙台を目指します。東京~盛岡間を一緒に走る「はやぶさ」「こまち」と同様、“併結する”新幹線は、東北新幹線の1つの“文化”とも言えるかも知れません。
福島でやまびこ号と分かれた山形新幹線つばさ号が、最初に停まるのが米沢駅。老舗駅弁屋さんの松川弁当店は6月19日から新作駅弁「米沢牛すきやきと鮭はらこめし」(1500円)を販売しています。その名の通り、米沢名物・米沢牛のすきやき(肉料理)と、仙台名物の鮭はらこめし(魚料理)を一度にいただくことができる駅弁。まるで仙台行のやまびこと山形行のつばさが連結して走っているかのような駅弁です。
【おしながき】
・白飯
・牛肉のすきやき風煮(牛肉 焼き豆腐 ねぎ こんにゃく 人参 椎茸)
・鮭はらこめし(鮭のほぐし身 いくら醤油漬け 錦糸玉子)
・しば漬け
白飯の上に米沢牛はもちろん焼き豆腐なども入った本格派のすきやきと、味付けご飯に鮭のほぐし身といくらが載った彩りのいいはらこめしが目を引きます。松川弁当店によると、はらこめしは仙台藩の祖であり、米沢出身でもある伊達政宗公も召し上がったと言います。一方、米沢牛は伊達氏の後、米沢に入ってきた上杉氏の名君・鷹山公が開いた藩校・興譲館に、明治初めに来日したイギリス人の先生によって、美味しさが広まったそうです。
なお、「米沢牛すきやきと鮭はらこめし」ですが、米沢駅では2日前までの予約限定販売。この他、山形・新庄・福島など山形新幹線各駅のNEWDAYS(一部は週末に販売)や東京駅・仙台駅の「駅弁屋 祭」でも販売があります。米沢はさまざまな温泉宿がありますが、料理のメインはやはり米沢牛です。その意味でも旅の帰りに駅弁をいただく際は、意外に魚が重宝しそう。やまびこ・つばさの併結列車で、米沢に縁のある、伊達・上杉の歴史に思いを馳せていただくと、より一層、肉と魚を一緒に美味しくいただけそうです。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/