いまや「死に至る病気」ではなくなったHIV感染症

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東京都医師会広報委員で国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター(ACC)病院広報管理部門長の菊池嘉氏が7月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。最新のHIV感染症の治療法について語った。

いまや「死に至る病気」ではなくなったHIV感染症

※画像はイメージです

HIV感染症 ~いまは1日1錠の薬を飲めばコントロールできる

飯田浩司アナウンサー)HIV感染症とエイズについて伺います。感染した場合、どんな治療が行われるのですか?

菊池)現在では1日1錠の薬を内服すれば、HIV感染をコントロールできる時代になりました。患者さんも楽になってきています。

飯田)1日1錠の薬を飲めばいい。

菊池)私たちの施設ができた1997年ごろにも薬はあったのですが、1日3回飲まなければいけないなど、いろいろな制限があり、辛い時期がありました。当時は薬を手に乗せるといっぱいになるくらい多く、たくさんの水がないと、とても飲めませんでした。

飯田)当時は。

菊池)昔から1日2回の内服を行う方や、1日1回でも複数の錠剤を飲んでいる方もおり、そのままそれを続ける方も多数いらっしゃいます。

いまや「死に至る病気」ではない ~適切な検査は必要

菊池)また、月に1回、あるいは2ヵ月に1回の注射を継続していればコントロールできる時代です。いまは「死に至る病」ではなく、通常の社会生活を送ることができる病気になっています。

飯田)ある意味で、付き合っていくことができるようになったのですね。

菊池)そうですね。ただ、診断できなければ知らない間に進行してしまうことになります。適切に検査を行って診断をつけていただきたいというのが、現場からのメッセージです。

いまや「死に至る病気」ではなくなったHIV感染症

新行市佳アナウンサー、菊池嘉氏、飯田浩司アナウンサー

性交渉、または母子感染が大きな感染パターン

新行市佳アナウンサー)何がきっかけで検査することが多いのですか?

菊池)感染症については、皆さんもコロナ禍を体験していろいろと知識が増えていると思います。空気感染、飛沫感染などがありますが、HIVは接触感染になるので、接触がなければ感染し得ないのです。

新行)接触がなければ。

菊池)最も多いのは性交渉での接触感染です。あとは血液媒介や、母子感染が大きな感染パターンです。基本的には、適切に性交渉していれば、うつりません。

いまもなくならないHIVへの差別

飯田)薬の進歩も、10年~20年でずいぶんと景色が変わるものですね。

菊池)明らかに変わりましたね。

飯田)患者さんの向き合い方も変わりますか?

菊池)差別を受けてきた病気なので、患者さんは「HIVを治療している」とはなかなか言えませんし、その意味では、難しい面はあると思います。

飯田)医学部分での進歩はあるけれど、知識の蓄積や社会全体としての受け止め方は、これから先の課題ですか?

菊池)おっしゃる通りです。現場にいる私たちは、正しく情報発信していたつもりでしたが、上手く伝わっていない部分もあり、それは反省点だと思っています。改めて、正しく伝えたいと思っています。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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