「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
夏の猛暑の影響もあって、東京などでは秋の訪れが比較的遅く感じられますが、全国を旅すると、田んぼの稲刈りが終わり、庭に植えられた柿の木は実り、山々は色づいていて、確実に秋は進んでいることが実感できます。そんな秋のカラフルな車窓を眺めて食べたい新潟のちらし寿司駅弁をいただいてみました。
2023年も実りの秋を迎えました。米どころの新潟ですが、今年(2023年)は猛暑と水不足の影響で、米の品質に大きな影響が出てしまったと伝えられています。高温障害では米の見た目が悪くなってしまうため、買い取り価格が下がり、農家の皆さんは大打撃になってしまうそう。自然の前にはどうしようもないところですが、味には影響がないと伝えられておりますので、今年も新潟のお米を美味しくいただきたいものです。
新潟・新津駅前に本社を構える明治30(1897)年創業の老舗駅弁屋さん、神尾弁当部が販売している駅弁の1つに「花奏(かなで)ちらし」(1280円)があります。新津は“鉄道のまち”として知られますが、農業では米作りはもちろん、花作りも盛んな地域。そんな新津らしいネーミングの「花奏ちらし」は、もともと、新津の町おこしをきっかけに開発されたもので、この秋、リニューアル発売されました。
【おしながき】
・酢飯(新潟県産コシヒカリ使用)
・焼鮭のほぐし身
・いくら
・えんがわ
・錦糸玉子
・椎茸煮
・山せり漬
・赤かぶ
「花奏ちらし」の名にふさわしく、ふたを開けるとパッと華やかな彩りがあふれます。新潟県産コシヒカリの酢飯の上に、鮭やいくらが花をイメージして色鮮やかに盛り付けられていて、目玉は何といっても真ん中に鎮座する「えんがわ」。名物駅弁の「えんがわ押し寿司」で使われている脂がのったえんがわがちらし寿司にも登場した格好です。見た目はもちろん、食べ応えも十分なちらし寿司に仕上げられています。
神尾弁当部の「花奏ちらし」は、開催中の「駅弁味の陣2023」にもエントリーしている他、11月10日から始まった日本鉄道構内営業中央会による「駅弁マーク制定35周年」の記念駅弁企画にも参加しています。この企画には、全国29社が参加し31種の駅弁に記念のしおりが封入されています。なかには「駅弁マーク」を大きく表示した特別な掛け紙など、さまざまな工夫が施された弁当もあります。いまだけの駅弁を求めて、秋の鉄道旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
この記事の画像(全6枚)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/