ビジネスのトップシーンで活躍する方や、気になる時事問題を読み解くスペシャリストを迎えてお話を伺う番組『スルミ presents トップジャム』。
今回のゲストは、大手コンビニチェーン・ファミリーマートの元社長で、現在はセルソース株式会社 代表取締役CEOを務める澤田貴司さんです。実は、テレビ東京からの転職を悩んでいたときに背中を押してもらったという福田アナ。プロフィールを見ただけでもパワフルさを感じるという石塚さんからは質問もたくさん飛び出しそうです。
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福田:さっそくですが、プロフィールをご紹介させていただきます。澤田貴司さんは石川県出身。上智大学理工学部卒業後、1981年に伊藤忠商事に入社し、アメリカのセブンイレブンの再建などに携わります。97年にファーストリテイリングへ入社すると、ユニクロのフリースブームを生み出しました。2016年に大手コンビニチェーン・ファミリーマートの社長に就任。現在はセルソース株式会社 代表取締役CEOを務めていらっしゃいます。
私は澤田さんとはお誕生日会にお邪魔させていただいてからのご縁なんですけれども、転職するときにもたくさんアドバイスをいただきました。翼さんは初めましてですよね。
石塚:はい、お伺いしたいことがたくさんあります。ファーストリテイリングの在職期間が5年ほどですが、その間にフリースをバーっと売り上げて。短ƒ期集中してお辞めになられたっていう感じだったんですか。
澤田:短期集中というか、4年で辞めようと思ってました。そもそも自分で起業しようと思っていたら柳井さんに出会って。めちゃくちゃ面白い人だなと。
福田:それはどういうところに感じたんですか。
澤田:パッションとエネルギー。当時はユニクロって東京に1店舗もなくて全然知らなかったけど、柳井さんはすごく素敵だし、この人だったら勉強になるなと。だから4年勉強して出て行くって言って入ったんですよ。元々、商社マンで現場に立ったことなかったから現場の勉強したいと言って店長候補で入ったんですけど、翌年副社長になっちゃって。夢は起業だっていうのを忘れそうになっちゃったんだけど、やっぱり起業、と思って5年目に辞めました。
石塚:ファーストリテイリングをお辞めになられて、その後は投資ファンドですよね。
澤田:気合と根性で作った、KIACON(キアコン)ね。
柳井さんのところで400億弱だった会社が4年で4000億になっちゃったんですよね。それを俺が何かやったみたいな感じがしちゃって。どうせだったらまたでかい仕事やりたいなと思っていろいろ考えて、1年ぐらいプラプラしたんですよ。アメリカに友達が多いんですけど、アメリカで流通業を買収して再生する「ファンド」っていうのが立ち上がってると。それを日本でやりたくて日本で代表できるやつを探してると聞いて。いくら出すか聞いたら、600億から700億出すって言うんですよ。それで自分もお金出して一緒に会社を作ったのがKIACON。
石塚:そのKIACON、今は?
澤田:たたみました、2年弱で。
石塚:なんでですか?
澤田:ダイエーを買おうとしたのね。
石塚:ちょうど傾いてたときですか?
澤田:2003年にダイエーが傾いて、僕はKIACONを作って。ダイエーって売り上げ2兆円だったけど、日本で一番デカかった流通業が本当にボロボロで。
3分の1の33.4%を650億で買うっていうディールで、僕、650億(円)集めて入札したわけ。100社以上が手を挙げたんですけど、最後に残ったのが、イオン、丸紅、KIACONですよ。最後の最後で丸紅対KIACONになった。僕が集めてきたお金は海外が多かったんですけど、日本の流通業界を支配するのは良くないと。それで負けちゃったから、もう潮時みたいな。
石塚:今のロッテベンチャーズ・ジャパンも役員やられてらっしゃると思うんですけど、そのときのこととか関係あるんですか?
澤田:全然関係ない。ユニクロのときに海外の進出を担当してて、そのときに出会ったのがロッテのオーナーの重光さんですごく懇意にさせてもらって。それからユニクロが韓国に出したりとか、ロッテリアの再生をやってくれって言われたりとか。あとクリスピー・クリーム・ドーナツを一緒に日本に持ってきたりとか、彼と一緒にやったんです。クリスピー(・クリーム・ドーナツ)は、毎日600万売ったんですよ。年間20億。俺やっぱ天才だ、みたいな。
福田:そこを嗅ぎ分けるといいますか、ここを見つけてくるっていうのは。
澤田:運ですよ。アメリカに友達が多いんですけど、スタバを作った人たちとか、ダイエーを買うって言ったときにものすごいお金を出してくれた人とかに、やたら可愛がってもらって。
福田:その方たちはいつのご縁なんですか?
澤田:スターバックスは、伊藤忠時代です。当時日本にスターバックスが出てくるときに、僕、交渉したんですよ。でも1995年とか95年とかは、喫茶店も多かったし、タバコ吸えない喫茶店が流行るわけないとか言われて大反対、役員全員却下。でも僕はすごくやりたかったので、向こうの社長さんとかとすごい仲良くなって。伊藤忠辞めるって言ったときに、スターバックスジャパンのNo.2をやってくれって言われたんです。
石塚:それを断って、ユニクロに行ったってことですか?
澤田:入ろうかどうか悩んでたときに柳井さんと出会って。自分にはスタバなんかおしゃれすぎんなって思って、(スタバに入るの)やめたんですよ。
石塚:服ってサイズ展開もすごく多いし、1種類に対して最低100着ぐらい作るから在庫を抱えるじゃないですか。それを抱えてもいいって思った上で売っていった、その手法を伺いたいです。
澤田:確信犯的に売れるものしか作らないですよ。ベーシックだけど、色とかデザイン、素材っていうのはものすごい限定する。ベーシックなんだけど、めちゃくちゃいいものを作っていこうってことで戦略全部変えちゃった。
石塚:高品質低価格でペイができるもんなんですね。
澤田:だから工場をめちゃくちゃ選びました。工場に自分の足で行って自分の目で確かめて。僕なんか繊維のプロじゃないから、繊維のプロを連れてって全部チェックして、最高にいい工場だけと契約する。
石塚:それが今のユニクロを作りあげたんですね。
福田:澤田さんはこれまでたくさんのキャリア積まれてると思いますが、最後に今後の夢を教えてください。
澤田:だんだんわがままになってきてるんで、やっぱり良い仲間と良い時間を過ごしたいね。それで十分。
福田:お知らせがあればお願いします。
澤田:セルソースっていう会社で社長やらせてもらってます。僕らの会社は、膝を痛みを知ってみんながスタスタ歩けるようにしていこう、という再生医療をやっている会社です。リスナーのみなさんで膝に痛みを抱えている方は、セルソースにご連絡いただければぜひ対応したいと思います。
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福田:多くの若手起業家が澤田さんのもとに来て自分の案を壁打ちして、違うって言われてまた練って、っていう姿を傍目から見ているんですけど、みんな澤田さんが大好きで感謝してるんですね。自分はこの人のビジネスを成功させたいという人が集まっていて、澤田さんのご経験が循環しているのを感じています。
石塚:経験された方の言葉だから、ちゃんと重く受け止められるんだなと思います。福田:澤田さんの言葉にパワーをもらえた方も多かったのではないでしょうか。ぜひポッドキャストで全部聞いていただければと思います。