こんにちは、ニッポン放送アナウンサーの箱崎みどりです。
ニッポン放送で3月11日(火)20時30分から放送した特別番組「いま伝えたい地球の話 ~あと5年で、私たちができること~」を担当しました。

三宅香(日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)共同代表)さんと
外にいるのが危険なほどの苛烈な夏の暑さやこの冬の大雪、気象災害・自然災害の激甚化、農作物の不作・価格高騰といった多くの問題は地球温暖化によるものです。これらは、深刻な危機として私たちの生活に迫っています。
地球温暖化とその対策について、番組でゲストの三宅香さんとお話ししたことをご紹介します!

スタジオの様子
昨年の夏の猛烈な暑さに、地球温暖化が命に関わる問題であることを肌で感じた方が多いと思います。私も、子どもたちのプールが暑さのために中止になったり、農作物が暑さの影響で値段が上がったりしたことで、温暖化を身近な問題として感じていました。
特に、昨年9月に放送した「地球のためにできること ~楽しくアクション!SDGs」という番組で気候科学者の江守正多先生にお話を伺い、人類に残された猶予が僅かであること、対策に失敗すると今までのように地球に住めなくなってしまう未来が来ることを知り危機感を募らせ、重点的に取材をするようになりました。
そんな中で出会ったのが、脱炭素社会実現を目指す企業グループ、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)です。地球温暖化対策に真剣に取り組み、実際に動いている企業が日本にたくさんあるということは、とても心強く感じました。
(取材した記者会見については、ブログにまとめています)
https://www.1242.com/midori/midori_blog/20241210-329767/
今回の特別番組では、JCLP共同代表の三宅香さんにお話を伺いました。JCLPは企業の集まりなので、三宅さんも三井住友信託銀行にお勤めで、ESGソリューション企画推進部 フェロー役員として活躍される中、JCLPの共同代表を務めていらっしゃいます。

三宅香(日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)共同代表)さん
2009年に数社で発足したJCLPには、現在250を超える企業が参加しています。今では、電気をたくさん使う会社だけでなく、電気を作って販売する会社もたくさん参加されているそうです。
JCLPの目的は、「気候危機の克服に向けた脱炭素社会への移行」。
地球温暖化対策でカギとなる数字が「1.5℃」です。これは、産業革命前から地球の平均気温の上昇を1.5℃以内に抑えましょうというもので、国際的な約束になっています。1.5℃という目標は、科学の知見を参照し国際合意がされたもので、ここを超えると、地球のバランスが崩れてしまうといいます。地球環境の悪循環が始まると、人間には戻すことができなくなってしまいます。
気温上昇を1.5℃に抑えるために移行すべき“脱炭素社会”について、三宅さんに訊きました。
三宅:今、私たちが生活するうえで、基本的に必要な電気ですとか、車のガソリンですとか、いろんなものに化石燃料が使われています。この化石燃料は燃やすと、二酸化炭素が空中に排出され、それが温室効果ガスとなって地球の温度を上げることになる、というのが今の仕組みです。そこで、空気中に出されてしまう二酸化炭素を何とかなくそう、というのが脱炭素社会。最初ちょびっとは出てしまっても、その分は植物などが吸収するので、出す分と吸収する分がイコールになることを「ネットゼロ」と言います。
箱崎:産業革命後に、地球に貯まっていた化石燃料を燃やして人間が発展してきたから、二酸化炭素が温室効果ガスとなって地球の周りに留まり、今、温暖化になっているんですよね。それを、プラスマイナスで0にしていく。
三宅さん:そのためには、圧倒的に出す量を減らさなければならないというのが今の課題です。
箱崎:日本は火力発電の割合が大きいと思うのですが、0にできるんですか?
三宅:発電由来のものを、全てを0にすることができるかは分かりませんが、限りなく0にすることはできます。太陽光や風力といった再生可能エネルギーと言われているものに置き換えをする、また、ちょびっと出る二酸化炭素に関しては地球に引き戻すCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)というやり方もありますので、そういうものを全部組み合わせて、なんとか0にしていくと。まず今できることは、再生可能エネルギーに転換をすること。こっちの方が安上がりなので、まずは安上がりな方をやりましょう、というのが今の考え方です。
箱崎:再生可能エネルギーは割高なイメージがありますが、安上がりなんですか?
三宅:値段は確実に下がってきています。

JCLPのホームページより
JCLPでは、国内外の最新情報・最新技術を収集・共有し、それを踏まえて日本企業に必要な政策については政策提言をし、さらに互いに脱炭素社会を目指して連携しているといいます。
三宅さんによれば、「日本が一番遅れているかというとそれは違うし、日本が特別にできているかというとそれも違います」「先進国の中で比べると、火力発電の割合が多いのが今の日本です」と語った上で、海外の状況とこれからの日本に必要なことを教えてくださいました。
三宅:ヨーロッパ・イギリスでは、再生可能エネルギーへの転換がどんどん進んでいます。イギリスでは、去年、石炭火力発電所の最後の一基が閉鎖されました。着実に一個ずつ閉鎖していって、いつかはなくしましょう、というのが国際的な合意です。それに向けてどうやって行くのか、日本はもうちょっと考えた方が良いかなと思っています。
箱崎:進めていくためには何が必要でしょうか?
三宅:全員の参画が必要だと思っています。ひとつは、もちろん政府がリーダーシップを取って方向を示してくれることも大切ですし、企業もある程度投資をして採算性が取れるように努力するというのもひとつです。そして、消費者の理解も必要だと思います。国だけ、企業だけが行動すれば解決する問題ではないんですね。全員の中には、消費者も含まれています。この番組をきっかけに、「自分が使っている電気はどうやってつくられているんだろう」と考えていただきたいですし、知るだけでも違うと思います。私は「絶対再生可能エネルギーの方が良いよ!」って押し付けるつもりはなくて、皆さんが理解して、考えて、選択して欲しいです。企業がやっていることに関心を持っていただいて、頑張っている会社を応援することも、物凄く大きな行動なんです。ひとつ物を買うだけでも、大きな応援になります。
そして、最後に三宅さんからリスナーの皆さまへメッセージが送られました。
三宅:口に出して話すことの大切さがあると思っています。特に親しい人。家族とか友達とか、「えー、そんなこと考えちゃってるの?」って茶化すんじゃなくて、5年後に1.5℃、1.7℃になってしまうと、子どもたちが外で遊べない世界になってしまいます。それはやっぱり嫌なので、どんどん話して欲しいなと思います。
ぜひ、この番組、この記事をきっかけに、地球温暖化について調べてみて、周りの方と話すなど、実際の行動に移して欲しいです。
私は、お酒の席で(!)釣りが趣味の松本秀夫アナウンサーに地球温暖化の話をしてみたところ、「東京湾で釣れる魚が変わってきている」と教えてくれました。春告魚と呼ばれるメバルは、3月の東京湾で釣れる旬の魚でしたが、温暖化で隠れ家となる海藻が減ってしまったため、激減してしまったそうです。
一方で、東京湾でもトラフグが釣れるようになっていて、元々いたショウサイフグとの交配が進み、交配した新種はどこに毒があるか分からないため食べられないなんてことも。また、防波堤や砂浜で釣れたシロギスは、温暖化で水温が低い深い所に行ってしまい、陸からは釣れなくなってしまったそうです。(お互い素面のときにもう一度訊いてきましたので、ご安心ください)
あなたのごく近い所にある地球温暖化。人類が地球に住み続けるために、何ができるのか。これからもリスナーのあなたと一緒に考えていきたいです!
radikoタイムフリーで1週間聴けます。ぜひ、周りの方にも広めてくださいね。
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https://radiko.jp/#!/ts/LFR/20250311203000
【番組概要】
■番組タイトル:「いま伝えたい地球の話 ~あと5年で、私たちができること~」
■放送日時:2025年3月11日(火)20時30分~21時
■パーソナリティ:箱崎みどり(ニッポン放送アナウンサー)
■ゲスト:三宅香(日本気候リーダーズ・パートナーシップ共同代表/三井住友信託銀行 ESGソリューション企画推進部 フェロー役員)