
冬季トヨタアスリートが、お台場TOYOTA ARENA TOKYOに集結
開催まで100日を切った、ミラノ・コルティナ・オリンピック2026
「ミラノ・コルティナ・オリンピック2026」開催まで、100日をきった10月30日、トヨタ自動車に所属し、「ミラノ・コルティナ・オリンピック2026/パラリンピック2026」に出場を目指す選手、出場が内定している選手による合同取材会が、お台場青海地区にあるTOYOTA ARENA TOKYOの「Sports Café & Bar ARENA Miraie(アリーナミライエ)」で行われました。
参加したのは、堀島行真選手(フリースタイルスキーモーグル)吉永一貴選手、渡邉碧選手、平井亜実選手、中島未莉選手(スケート・ショートトラック)森井大輝選手、村岡桃佳選手(パラアルペンスキー)の7人。
堀島選手、吉永選手、渡邉選手、平井選手、中島選手は、今後、出場を賭けた大会の結果で、オリンピック出場が決まり、森井選手、村岡選手(パラアルペンスキー)は、すでにパラリンピックへの出場が内定しています。
連続して、オリンピック・パラリンピックに出場している選手もいれば、日本代表決定の最終段階で落ちてしまった選手、初めて挑戦する選手などそれぞれ。
今回の「ミラノ・コルティナ・オリンピック2026/パラリンピック2026」について各選手は、以下のように話しました。

モーグルで、金メダルを狙う堀島行真選手
北京オリンピックでは、モーグルで銅メダルを獲得、2023-24シーズンでは、日本男子初のワールドカップ・シングルモーグル総合優勝、昨シーズンは世界選手権で金メダル、8年ぶりに世界王者に輝いた堀島行真選手は、
『オリンピックは、僕にとって3回目。毎回の準備というところで、反省点が生まれてくるのですが、今回、挑むにあたって、平昌・北京の反省点を生かしながら、取り組めているので、楽しみなオリンピックでもありますし、28歳(大会時点)、オリンピックで金メダルを目指すというのは、あまりないチャンスだと思っています。』と話しました。

いつも仲の良いスケート部は、日本代表への気持ちをラップで表す
そして、堀島選手と同じく3回目のチャレンジとなるショートトラックの吉永一貴選手は、
『これまでの2大会については、めちゃくちゃ悔しい気持ちになっています。いま26歳で、体もかなり良い状態に仕上がっていて、先日まで戦っていた世界大会でも、良い状態の中で滑れていたので、今の自信を、現実に変えていけたらなと思っています。』と話しました。
また、これまでの落選の悔しさを力に変えたい選手は2人。
平昌・北京のオリンピックで、代表入りを逃したショートトラックの渡邉碧選手は、
『今回が3度目の正直になります。過去2大会は、もちろん悔しさもあるのですが、どこかで、〈年齢的に次でも目指せる〉と思っていた所もありました。
今、26歳になって目指せるチャンスも少なくなりますし、一番、オリンピックを目指せるポジションにいるという所で、自分に対する期待や、オリンピックに出たい、という気持ちが強くあります。
この後、ワールドツアーの第3戦・第4戦がありますが、そこでオリンピックの枠を、しっかり獲れるように頑張ってきます。』
北京オリンピック日本代表の選考で、悔しい思いをしたショートトラックの平井亜実選手は、
『北京オリンピックの国内選考会では、一番で選抜されたのですが、準備不足や、国際大会に向けた経験の少なさなどで、最終的には、オリンピックに出場する事が出来ませんでした。
4年ぶりのリベンジという事で、準備とか、国際大会での経験とか、しっかり積んできたので、そのパフォーマンスをしっかり出し切る場として、思い切り臨んでいきたいと思います。』
そして、トヨタ自動車スケート部としてのデビュー戦となった2024年全日本距離別選手権で、500m/1000m/1500mで優勝し、3冠を達成。今回オリンピック選考に初挑戦となるショートトラックの中島未莉選手は、
『オリンピック初出場を目指して、しっかり頑張っていきたいですが、先日行われたワールドツアー第2戦、女子リレーで銅メダルを獲得できた事は、オリンピックにつながる良い体験ができたなと思いました。
私も皆さんと一緒に、オリンピックという舞台を経験したいと思っていますので、しっかり練習を積み重ねて、オリンピックでしっかり成績を残せるようにしていきたいです。』
と、日本代表選考に向けた気持ちを話しました。

パラリンピック出場が内定している森井大輝選手(左)村岡桃佳選手(右)
オリンピックの1ヶ月後、3月6日から始まるのが「ミラノ・コルティナ・パランピック2026」
パラアルペンスキー(座位)日本代表として内定しているのが、森井大輝選手と村岡桃佳選手。
パラリンピック出場は今回で7回目、ワールドカップでの総合優勝や、世界選手権での金メダルなど、数々のタイトルを獲得してきた森井大輝選手ですが、パラリンピックでは、まだ金メダルを獲得していません。
『16歳の時にオートバイ事故をして、夢や希望を全部諦めて、どん底の時に出会ったのがパラスポーツのチェアスキーでした。
僕にとってパラリンピックは、あまりにも大きすぎて、毎回、毎回、鼻息が荒すぎて・・・本当に今回は、機は熟したというか、本当に良い道具があって、周りには良い仲間が沢山いて、だから、今回の大会を心の底から楽しめるようにしたいと思っています。
そうすればきっと一番良い色のメダルが獲れるのではないかと思っているので、気負わずに迎えれればいいなと思っています。』と話しました。
そして、その森井選手に憧れ、パラリンピックのアルペンスキーでは、金メダル4個を含む、9個のメダルを獲得しているのが、村岡桃佳選手です。
村岡選手は、
『冬季パラリンピックは、4度目になります。
初めての出場した時は高校生で、小さい頃からの夢だったパラリンピックに出られるという事で、夢見心地・お祭り気分でした。でも待っていたのは、厳しい現実と自分の現在位置、パラリンピックの大きさだとか、重圧に打ちのめさました。
そこからトレーニングを積んで、2大会目・3大会目では、2大会連続で金メダルを獲得する事が出来て、今回のミラノ・コルティナ大会は、3度目の金メダルを目指す大会になります。
大会を重ねる毎に、パラリンピックの重さを感じています。今回も、責任や覚悟、プライドを持って臨みたいと思います。』と話しました。
●ミラノ・コルティナ・オリンピック2026
https://joc.or.jp/milano_cortina2026/
2026年2月6日〜2月22日の17日間 8競技116種目を開催
●ミラノ・コルティナ・パラリンピック2026
https://www.parasports.or.jp/paralympic/jpc/milanpara2026/index.html
2026年3月6日〜3月15日の10日間 6競技を開催

競技で使う「道具」と一緒に写真に収まるトヨタアスリート
今回の会見は、トークショー形式行われました。トークテーマは、「道具」
ウインタースポーツは、道具を使うものが多いということで、その重要性を、心技体と比べると、どのくらい重要なのかをテーマに行われました。
フリースタイルスキー・モーグルの堀島選手は、自分が使うスキー板について
『雪面が日々変化する中で、その変化にどう対応をしていけるかという所で、より難しい道具を使ってしまうと、難しい場面になった時に、思うような結果が得られない事があります。道具へのアプローチとしては、自分の技術の支えになるもの、チューンナップだったり、形を変えたりして、自分の得点をどう伸ばしていくか、どうやったら勝てるようになるか、というと所だと思います。』
と話すと、氷との接地を大切にするスケート・ショートトラックの吉永選手は、
『コンディションの部分、体とかメンタルの部分と、スケート靴のブレードなどの感覚が、滑っていると一致するなと感じる場面があります。写し鏡のようです。』
同じくショートトラックの渡邉碧選手は、
『スケートは、温度、湿度で、氷の状態が変わってくるので、そこをブレードの調整で対応しようとするとキリがない。そこは、ある程度の状態にして、自分の状態・体でコントロールをしたいなと思っています。』
ショートトラックの中島未莉選手も
『ブレードが少しでも曲がっていると、上手く滑らす事が出来なくなる。
ショートトラックは、駆け引きが多い競技。気持ちが強い選手が上位にいるなと感じているので、私は心が一番大事だと思いました。
ただ、最近ブレードの色をカスタムできるようになったので、靴とブレードを、私の好きな紫にしています。そうした事で、道具も心の支えになっていると思います。』
と、道具と心技体の関係性について話しましたが、そんな中、ショートトラックの平井亜実選手が衝撃の告白をしました。
『メンタルが不安定だと、道具のせいにしてしまう事があります。逆に、メンタルが安定していると、道具の影響を受けずに、思いっきり滑る事ができます。
実は3年前の世界選手権大会で、スケート靴のブレードを、左右逆につけていた事がありました(笑)普通の選手だったら滑れないと思うのですが、それで普通に滑っていました。だから、道具に影響を受けないタイプだと思います。』

森井選手、村岡選手が使うチェアスキー。大きなサスペンションの上に座面が配置されています。
パラは、道具ではなく、体の一部
オリンピックに出場する選手は、〈道具は心技体のプラスα〉と話しましたが、パラリンピックに出場する森井選手、村岡選手は、体の一部と話しました。
村岡選手は、
『道具を使うスポーツは、道具を体の一部のように扱わなければいけないと言われるじゃないですか、特にパラスポーツだと、〈障害がある部分をカバーするために道具を使っている〉という部分もあるので、より体の一部でなければいけないという要素が大きいと思っています。』と、道具との関係性を話しました。
そしてベテランの森井選手は、
『皆さんと違って、この歳(45歳)になると、体のコンディションの良い日が、年間数えるくらいで、そうすると、道具にたよるウエイトがかなり大きくなります。(苦笑)
私と村岡選手のチェアスキーは、トヨタ社内の人たちに協力をして頂いて、一緒に開発をさせて頂いています。僕のテーマは、〈人機一体〉、人と機械が一体となる事です。
どれだけ体に合わせて、チェアスキーが動いてくれるのか。基本的には、膝の役割をしてくれているのですが、体の沈み方や、力の戻り方、反発の力など、本当にこだわって作る事が出来ています。
今回のチェアスキーは、限界点が高い事。これまでは、チェアスキーの限界点が、僕の限界点より低かったので、僕が色々とセーブして滑っていたのですが、新しいものは、僕の限界点より高いので、より攻めた滑りができます。だから今は、自分の限界点を上げているところです。』と、新しい道具との関係性を話しました。

森井選手、村岡選手と、チェアスキーの開発者
また、この取材会には、トヨタ自動車で森井選手、村岡選手のチェアスキーを開発しているチームリーダーの中山さんも参加しました。
中山さんは、ランドクルーザーや、商用車系のサスペンション設計をしている設計士。
チェアスキー制作には、これまでもトヨタ自動車の技術者が関わっていましたが、中山さんは2024年から担当になりました。中山さんは、
『乗用車制作と違うのは、速さを求めるという事。2人とも〈速くなりたい〉といいますが、そこは体の一部なので、ただ速くなる物を作っても、使い辛いものになってしまう。だから2人の意見を聞いて、〈速いけど使いやすい〉という目標を立てて制作しています。』
と、2人へのエールと、開発者の気持ちを話しました。





