東京~伊豆の鉄道による観光アクセスを担う特急「踊り子」。
実は「踊り子」には様々なバリエーションがあります。
中でもハワイアンなカラーを身にまとった窓が大きな車両が印象的なのは、特急「スーパービュー踊り子」。
充当される251系電車は「乗った時からそこは伊豆」をキャッチフレーズに作られた車両。
乗車時にアテンダントの方による「切符の拝見」を受けるのも1つの特徴です。
さて、伊東温泉の中心部を流れる松川。
この川の畔に建つ木造3階建ての建物といえば、伊東温泉のシンボル「東海館」。
「東海館」は旅館として、1928(昭和3)年に創業、戦中、戦後と幾度かの増改築を行いながら賑わってきました。
しかし、1997(平成9)年、旅館の歴史には幕を下ろしました。
現在は所有者から建物が伊東市に寄贈され、2001(平成13)年から、伊東温泉の観光・文化施設となっています。
今となっては、貴重な「木造3階建て」。
1999(平成11)年には、昭和初期の旅館建築の代表的な建造物として文化財的価値を持つと市が認定。
戦前からの温泉情緒を残す景観として保存し、後世に残す必要があるという理由から市の文化財に指定されました。
がっちりとした風格ある唐破風の玄関には、旭日と鶴の彫物が・・・。
外観のみならず、廊下や階段、客間の入り口など、館内の至る所で職人たちの技が見られます。
しかも元・旅館ということで、週末にはかつての内湯を使った「日帰り入浴」も出来ます。
床から壁まで総タイル張りの大浴場は、時間帯によって男女入れ替え制。
黒錆色の唐獅子は、地元出身の彫師・森田東光によるもの。
注がれている松原25号泉は、25.8℃、ph8.7、成分総計433mg/kgのアルカリ性単純温泉。
42℃に加温され、かけ流されているお湯は、サラッとした手触りでタイルの肌触りも良く、レトロな雰囲気の中でゆったりとした気分になれます。
「東海館」館内のカフェもいいですが、望月がいつも足を運んでしまうのは、伊東のアーケード街の中にある「スイートハウスわかば」。
1948年創業、伊東温泉で愛されている街の喫茶店です。
ココで湯上りにいただきたいのが・・・?
独特の形をした「ソフトクリーム」。
毎日、給食の鍋のような大きい「カマ」で作っているのだそう。
夏はあっさり、冬は少し甘めの味にするという手の込んだつくりで、スグに型崩れしないのも特徴です。
アイスキャンディー・アイスまんじゅうを手作りする喫茶店を経て、名物の「ソフトクリーム」が生まれたのだそう。
伊東のお湯で火照った体を、この「ソフトクリーム」でクールダウンするのが、望月の伊東旅の定番です。
まだまだ「海が足りない!」という方は、伊東から伊豆急行線で下田方面へ南下してみては・・・。
伊東線~伊豆急行線直通の普通列車の多くは、伊豆急行の8000系電車による運転。
懐かしいなぁと思った方は、東京~神奈川エリアにお住まい(だったことがある)かも。
そう、元々は東急東横線で活躍していた車両が、今は伊豆で”第二の人生”を送っているのです。
熱海~伊豆高原間は6両編成、伊豆高原~伊豆急下田間は前3両のみとなって運行されることが多いです。
温泉宿の朝ごはんというのは、多めに出てくることが多い上、朝食が8時~8時半くらいと遅めのことが多いもの。
10時ごろにチェックアウトして出てきても、お腹はそんなに空いていなかったり・・・。
でも、移動時間を考慮に入れると、小腹は満たしておきたいという状況がしばしば生まれます。
そんな時に重宝な駅弁といえば「祇園」の「おにぎりランチボックス」。
540円という価格帯も嬉しいもの。
蓋の下から現れたのは、おにぎり(しゃけ、わかめ)、鶏の唐揚げ、卵焼きに香の物というシンプルな構成。
「祇園」には元々、おにぎりが3つ入った「おにぎり弁当」という弁当があります。
ただ「これだと多くて食べきれない」ことがあるというお客さんの声に応えて誕生したもの。
それでも「祇園」のもう一つの名物「から揚げ」もしっかり入って、お腹にちょうどいい感じ。
温泉宿の魚介中心となる食事からアクセントをつける上でもいいと思います。
東伊豆の海岸線を走る、伊豆急行の「アルファ・リゾート21」。
「リゾート21」が運行開始から30周年を迎えたことを記念して、2月~7月まで半年限定の新塗装で運行しています。
30年前のトリコロールカラー(赤、白、青)を使いながら、現代風に白を基調としたカラーリングに・・・。
さらに、この夏からは小田原~伊豆急下田間に観光列車「IZU CRAILE(伊豆クレイル)」の運行も決定。
今年はますます注目度アップ間違い無しの「伊豆の鉄道旅」です。
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/