青森・函館の「マグロ女子」が攻める駅弁~新青森駅「懐かしの津軽海峡にぐ・さがな弁当」(1,300円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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八戸駅で発車を待つのは、快速「リゾートあすなろ下北1号」大湊(おおみなと)行。
東京7:36発の「はやぶさ3号」を待ち受けて10:49の発車、終点・大湊まではおよそ2時間の乗車です。
八戸~野辺地(のへじ)間は第3セクターの「青い森鉄道」を走り、野辺地からはJR大湊線(おおみなとせん)に乗り入れて下北半島を目指します。
大湊線は他のJR線との接続が無い「飛び地」になっていますが「青春18きっぷ」の特例で、八戸(青森)~野辺地間を途中下車しなければ「青い森鉄道」の通過利用が可能。
快速「リゾートあすなろ」も指定席券(520円)を購入すれば「青春18きっぷ」で乗車することも出来ます。

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「リゾートあすなろ」は平成22(2010)年の東北新幹線全線開業に合わせてデビューした観光列車で、青森県を中心に活躍しています。
ディーゼルエンジンとリチウムイオン蓄電池を組み合わせたハイブリッド式のHB-E300系を充当。
JR東日本のハイブリッド車は、駆動力に「電気モーター」を使用していて、最初はバッテリーの電気で発車。
その後、ディーゼルエンジンで発電機を動かして加速し、バッテリーの電気と一緒にモーターを回します。
減速する際にはモーターが発電機となり、ブレーキのエネルギーを電気に変換、バッテリーに充電していく仕組みになっています。
参考:JR東日本公式サイト

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「リゾートあすなろ下北」が走る大湊線は、野辺地~大湊間を結ぶ60キロ弱の路線。
途中、陸奥湾に沿って走る区間が長く、車窓から海の眺めを楽しめるローカル線でもあります。
特に「リゾートあすなろ」の先頭車と最後尾にはフリースペースの展望席が設けられており、迫力のパノラマが広がります。
なお、終点・大湊の1つ手前「下北駅」が本州最北端の駅となり、マグロで有名な大間方面への路線バスが発着しています。
さあ、そんな大湊線でこの夏、食べてみたい駅弁といえば?

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八戸駅のNRE駅弁売店で目立っていたのが、青森の”かっちゃ(お母さん)”が立売風の格好をした等身大パネル。
「懐かしの津軽海峡にぐ・さがな弁当」(1,300円)という駅弁のPRのモノですね。
この駅弁、7/1に「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」の開催に合わせて登場した新作。
新青森のほか青森、八戸、盛岡、さらには新函館北斗でも販売と発表されており、この夏、北東北~青函エリアで強力プッシュされている駅弁です。
調製は青森県内では有名なパンのメーカー「工藤パン」の子会社、「幸福の寿し本舗」が担当しています。

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手に取ると「マグ女新聞」なる新聞風の掛け紙となっていました。
この駅弁、「津軽海峡マグロ女子会」の「マグロ女子」の皆さんが監修を務めています。
「津軽海峡マグロ女子会」とは、青森と北海道・道南の女性による町おこしグループのこと。
会は町おこしグループのリーダー、旅館の若女将、観光案内スタッフなどおよそ70名によって構成されているといいます。
津軽海峡をたくましく、しなやかに、そして華やかに泳ぎ続ける「マグロ」のように、青函エリアの魅力を発信したいという思いがあるそう。
10月からは「マグ女のセイカン♡博」なる取り組みも予定しているといいます。
余談ですが「マグロ女子」って・・・、かなり「攻めた」ネーミングですねぇ。
過激に攻めてでも「首都圏の人に来てもらいたい!」という切実な願いがにじみ出ているように思います。

http://magujyo.link/2016/06/magujyo/

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【おしながき】
(にぐ部分:青森県)
焼肉のっけごはん(青森県産牛肉、青森県産ごぼう、青森県産米、青森のソウルソース「スタミナ源たれ」使用)

(津軽海峡部分)
棒鱈甘露煮(北海道産)
酢いか(北海道産)
杏の梅漬け
りんごのシロップ漬け(青森県産りんご使用)

(さがな部分:北海道道南)
鰊の甘露煮
ほぐし鮭(北海道産)
いくら・数の子醤油漬け

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「懐かしの津軽海峡にぐ・さかな弁当」を開けたら、ぜひ肉を下に縦に容器を置いてみましょう。
肉が青森、魚が函館(道南)、そして真ん中が津軽海峡という見立てになっているのです。
「懐かしさ」をキーワードに青函エリアが今以上に賑わっていた「青函連絡船」の時代をイメージして作ったというこの駅弁。
甘露煮やシロップ漬けなど、ちょっと懐かしい食材を使うことでノスタルジックな雰囲気を出したといいます。
道南の魚はちらし寿司風となっていて見た目が華やかですし、青森の肉は青函エリアの旅で魚介漬けになることを考えると重宝な存在。
女性プロデュース駅弁ということもあって、多すぎず抑制が効いた構成になっているのも有難いものです。
7月の3連休に新青森駅構内を見て回ったところでは、多めに作られているのが見受けられたので、比較的入手しやすいかも。
なお、八戸駅改札内の売店では、午前11時前後からの販売となるそうです。

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駅弁膝栗毛でも「マグ女」の皆さんのお手伝い・・・となるか分かりませんが、青函エリアの魅力を1つピックアップ!
JR大湊線・下北駅から「下北交通」バスで70分あまりの所にある「下風呂(しもふろ)温泉」(風間浦村)は、下北半島を代表する温泉地の1つです。
目の前に津軽海峡が広がり、天気が良ければ海の向こうには函館、夜はイカ釣り漁船の漁火が望めます。
「下風呂温泉」の名を全国に知らしめたのは、昭和の文豪・井上靖。
井上靖は昭和33(1958)年3月に連泊、小説「海峡」の終盤を執筆、下風呂を「漁火の見える温泉」として紹介しました。

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「下風呂温泉」の面白いところは、海辺なのに白濁の硫黄の温泉が湧いているところ。
望月好みの下風呂のお湯は、3つある源泉の中の、通称「浜湯」!
毎年お世話になっている「ホテルニュー下風呂」などで使われている温泉で、50.5℃、成分総計4,860.5mg/kgの含硫黄ーナトリウムー塩化物泉(海浜地1号)。
この「浜湯」、とってもまろやか!
お風呂の中に手をサ~っとくぐらせると、指と指の間を滑らかに濃厚なお湯がすり抜けていくのがとっても心地いいんです!!
加えて「ホテルニュー下風呂」の食事は、目の前の津軽海峡で獲れる絶品の「いか」「うに」などがてんこ盛りで、しかも価格帯はリーズナブル。
小さい温泉街には、ほかに共同浴場の「大湯」と「新湯」というそれぞれ別の源泉があって、周辺の宿にも配湯されています。
コチラは「浜湯」とは対照的に、酸性と熱さでピリッとした入浴感が楽しめます。
お湯、ご飯、景色の三拍子そろった「下風呂温泉」、毎年ココへ来ないと、望月の夏は始まらないのです。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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