人吉駅「鮎ずし」(1,100円)~特急に大出世!「いさぶろう/しんぺい」【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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肥薩線の観光列車「いさぶろう/しんぺい」

熊本の鹿児島本線・八代駅から人吉を経由して、鹿児島の日豊本線・隼人駅を結ぶ「肥薩線」。
肥薩線はしばしば、球磨川に沿って走る八代~人吉間は「川線」、矢岳越えのある人吉~吉松間が「山線」と呼ばれ、列車の運行もそれぞれ分かれています。
その中で貴重な「川線~山線」を両方楽しめるのが、「いさぶろう1号」と「しんぺい4号」です。
3/4からは熊本~人吉間が「特急」に昇格、普通列車から特急に「大出世」しました。

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肥薩線の観光列車「いさぶろう/しんぺい」

「いさぶろう/しんぺい」は、キハ47形気動車を改造して生まれた観光列車。
下りの吉松行が「いさぶろう」、上りの人吉・熊本行が「しんぺい」として運行されます。
この「いさぶろう/しんぺい」という列車名は、明治の鉄道の偉人に由来しています。
肥薩線・矢岳第一トンネルの人吉側入口には、当時の逓信大臣・山縣伊三郎、吉松側入口には、当時の鉄道院総裁・後藤新平の揮毫による石額が設置されており、これに因んでいるんですね。

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車窓の球磨川

この日は、本来の活躍場所である山線ではなく、川線で「しんぺい4号」熊本行に乗車。
「しんぺい4号」は人吉を出ると、終点・熊本まではおよそ1時間半の旅となります。
特に人吉~八代間の車窓には、富士川(ふじかわ)、最上川と並んで、日本三大急流の1つに数えられる「球磨川」の流れが広がります。
温かい時期の日中の列車なら、川下りやラフティングの人たちと手を振り合うこともあります。

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鮎ずし

「いさぶろう/しんぺい」には、車内販売のアテンダントさんが乗務しています。
もちろん、沿線の駅弁を積み込んでくれていることも・・・。
川線の車窓にピッタリなのが、人吉駅弁の定番「鮎ずし」(1,100円)!
球磨川は、鮎が名物でもあるんですよね。
調製元は、人吉駅を出て左手にスグ見える「人吉駅弁やまぐち」です。

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鮎ずし

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鮎ずし

昔ながらの掛け紙を外すと、青竹をイメージしたプラスチック容器が登場。
ふたを外すと、中から、丸々一匹の鮎を使った姿寿司が現れました。
新鮮な鮎の風味を生かし、昆布だしで炊いたすし飯の上に酢締めの鮎を載せているそう。
食べやすいように切れ目を入れてくれているのが有難いですね。
昔は各地で見られた鮎の姿寿司駅弁ですが、今も守られているのはとても貴重です。

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人吉駅で立売を続ける菖蒲豊實さん(2月、九州駅弁グランプリ決勝大会にて)

昔ながらの「鮎ずし」が今も駅弁として背景には、人吉駅で駅弁の「立ち売り」を続けている菖蒲豊實(しょうぶ・とよみ)さんの存在があります。
立ち売りの菖蒲さんから買うから、懐かしい味の駅弁が「商品」として成り立つんです。

今年は熊本地震復興応援のため、1月の京王百貨店新宿店の駅弁大会でも立売の姿を披露した菖蒲さん、今は金・土・日・月・火の週5日、駅に立ち、週の真ん中はお休みとのこと。
「3月中旬からは「SL人吉」も走るので、ぜひSLと一緒に見るとイイですよ!」とのことでした。
立売の姿はまた機会を改めて・・・、たっぷりお話を伺いたいと考えています。

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肥薩線の観光列車「いさぶろう/しんぺい」

熊本~人吉間には、3/4から新しい観光特急「かわせみやませみ」も運行を開始しており、肥薩線は、川線ものんびり旅を楽しむ「観光路線」に舵を切った格好。
ビジネス利用であれば、新八代でJR九州の高速バス「B&Sみやざき」号と九州新幹線を乗り継ぐことで、熊本~人吉IC間は1時間弱で到達することが出来ます。
そこに「プラス30分」の余裕を持てるなら、球磨川の車窓を楽しめる列車の旅がオススメです。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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