函館駅で発車を待つのは、キハ281系の特急「スーパー北斗」札幌行。
昔、函館が「北海道の玄関」の役割を果たしていた時代から、函館駅の長く弧を描いたホームでは、青函連絡船と接続し、道内へ向かう列車が発車を待つ光景が見られました。
去年の北海道新幹線の開業で“接続”という役割は、新函館北斗駅に譲りましたが、札幌行の特急「スーパー北斗」が停車する風景は、今も函館らしい景色の1つとなっています。
函館駅の“新しい”景色といえば、第三セクターの「道南いさりび鉄道」からやって来るキハ40。
「道南いさりび鉄道」は、北海道新幹線の開業に伴って経営が分離された江差線の五稜郭~木古内(きこない)間を結ぶ路線で、本州~北海道を結ぶ貨物列車の重要なルートとなっています。
電化されていますが、旅客列車は全てJR北海道から譲渡された気動車のキハ40による運行。
最近は、「道南いさりび鉄道」オリジナル塗色の車両も増えてきました。
函館の新しい車窓といえば、やっぱり北海道新幹線からの函館山。
新函館北斗到着前(発車後)5分程度のトンネルの無い所がよく見える区間で、田園風景の向こうに浮かび上がるように全景を望むことが出来ます。
東京からの「はやぶさ」では、進行方向右側のA席が函館山、津軽海峡側となります。
たいてい車掌さんの車窓案内もあるので、まず見逃すことは無いでしょう。
さて、北海道新幹線開業1周年に合わせて、3月26日にリニューアル発売されたのが、函館(新函館北斗)の駅弁、「箱舘新景」(2,000円)です。
調製元は、「函館みかど」(北海道キヨスク)。
元々、北海道新幹線開業に先立って平成27(2015)年5月に発売された駅弁で、今回のリニューアルに伴って、風呂敷に包まれた“ご馳走駅弁”となりました。
「箱舘新景」という駅弁のネーミングは、幕末から明治にかけて作られた函館の地図、「函館真景」に由来したものです。
この古地図の名前に、新幹線が通ることで生まれる新しい景色をなぞらえて「箱舘新景」に・・・。
風呂敷をほどくと、リニューアルされた駅弁も、以前と比べて“新しい景色”となっていました。
「山ごはん」「海ごはん」をメインに、幕の内風二段重の駅弁に生まれ変わっています。
【お品書き】
●贅沢2色の山海ごはん
「山ごはん」
道産和牛の時雨煮
錦糸玉子
白胡麻
「海ごはん」
道産いくら醤油漬
道産いか昆布
蒸うに煮
花ちらしれんこん
●銀鮭の味噌焼
●道産ごっこの唐揚げ
●道産ブリのエスカベッシュ
●グリーンアスパラ
●道産じゃがいもの肉じゃがコロッケ
●厚焼き玉子
●煮物(道産ほたて煮、乱切り人参煮、乱切り牛蒡煮)
●北海道七飯町産レアフルりんご
「ごっこ」は、函館の東部・恵山(えさん)~南茅部(みなみかやべ)の辺りでよく獲れるという魚。
別名「ホテイウオ」と呼ばれ、黒くてふっくらした見た目が特徴的です。
函館ならではの魚を使ってきたことで、駅弁にも“新しい景色”が生まれたワケですね!
函館らしい景色といえば、函館山の麓に赤レンガ倉庫が建ち並ぶベイエリアもその1つ。
1980年代後半から再開発が行われ、今では函館を代表する観光地の1つとなりました。
これも歴史ある街の中では、「新しい景色」の1つ。
北の港町の風景を思い浮かべながら、ちょっと奮発した旅ごはんをチョイスしてもいいかも!?
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/