八戸線・八戸~久慈間を週末中心に1日1往復しているレストラン列車「東北エモーション」。
八戸からの列車は久慈に12:52着、およそ1時間半の後、14:20に発車して八戸に戻ります。
この復路の列車は、「デザートブッフェ付」(4,500円)として運行されており、三陸の海を眺めながら、スイーツなどをいただいて、のんびり午後のひと時を過ごせるのが特徴。
往路のランチと合わせて、少しお得なセット(11,900円)で申し込む人が多いようです。
久慈駅では列車別の改札が行われているため、ホームに入れるのは14:05から。
1時間あまりの待ち時間は、歩いても10分とかからない「道の駅くじ」で、充実の土産物選びに興じるか、あまちゃんの「リアス」のモデル「喫茶モカ」へ聖地巡礼を果たすかは、お好み次第。
時間になってホームに入れば、既に乗車口では、お出迎えの準備が整っていました。
大漁旗があるのが、久慈らしいですよね。
2号車から乗り込むと、早くも車内は甘い香り・・・。
発車後、間もなく配膳されるであろうデザートが、早くも一面に用意されていました。
往路ではいかにもキッチンの雰囲気だった2号車ですが、復路ではケーキ屋さんの雰囲気。
乗り込んだ瞬間に、ちょっぴり緊張気味の気持ちが一気にほぐれました。
やっぱり「香り」って、場の空気を作るんですよね。
復路では、念願の「コンパートメント席」を押さえることが出来ました。
この席がある1号車は、昔のB寝台車のような造りになっており、通路は山側に寄せられ、海側に4人掛けボックスタイプのコンパートメントが7つ設けられています。
入口には簡単な扉もあって、閉めてしまえば、かなりプライベートな雰囲気も楽しめます。
なお、この席を利用する際は、1室3,000円の追加料金が必要です。
アテンダントさんが仰るままに、入口脇の小窓のようなところを開けてみると、「東北エモーション」オリジナルのポストカードとボールペンが飛び出しました。
実はアテンダントさんがやって来る前に、ココをのぞいたのですが何も無く、「何に使うんだろう?」と不思議に思っていたのですが、何だかちょっと嬉しいサプライズ!
レストランに特化した「東北エモーション」は、観光列車にありがちなオリジナルグッズ販売が無いので、まさにコレはコンパートメントに乗れた人だけのプレミアムな“お土産”と言っていいでしょう。
~デザートのアソートプレート~
赤い果実のムース
のだ塩キャトルカール
ほうじ茶のブランマンジェ
サプライズの余韻も冷めやらぬ中、復路のメインとなるデザートが運ばれてきました。
あゝ、「東北エモーション」のロゴが入ったチョコレート!
誕生日ケーキのチョコと一緒で、食べるのが勿体なくて、いつまでも愛でていたくなりますよね。
「のだ塩」というのは、以前も駅弁で「ご紹介」した久慈のお隣・野田村で作られている塩。
久慈発の「東北エモーション」ならではの食材に、旅気分も高まります。
~デザートブッフェ~
N・Yチーズケーキ
はちみつロールケーキ
ショコラノワール
抹茶ケイク
洋梨とキャラメルのババロア
紅茶のジュレ 白玉あずき
そして、復路は「デザートブッフェ」も目玉!
デザートが配膳された後、2号車のカウンターにはスイーツのブッフェが設けられます。
「甘いものは別腹」という向きには、まさに最高のシチュエーション!
ちなみに、今クール(2017.3~9)のメニュー監修を務めているのは、「ホテルメトロポリタン盛岡」のパティシエ・熊谷崇氏です。
~オードブル~
岩手佐助豚の生ハム
本日のおまかせオードブル
さらに、コチラもお好みで「オードブル」をいただくことも出来ます。
『やっぱり、お酒がイイなぁ・・・』というオトナ旅派の方には、ワインと一緒に楽しめそう。
岩手佐助豚は、岩手・二戸の農場で生産されているブランド豚。
旅行者にとってこういったご当地ブランドは、普段はなかなか自ら進んで選ぶことがないだけに、観光列車で使われることで、新たな食材との出会いの機会になってイイんですよね。
久慈を発車しておよそ30分、洋野町の海が見えてきた辺りで、いよいよブッフェタイムのスタート。
案内放送を合図に、1・3号車から、続々とお客さんが集まってきます。
ちょうど車窓がいい区間だけに、景色を撮るか、食欲に負けるか、う~ん悩む!
でも、出来れば早く選んで、美しい景色を見ながらいただきたい!
移りゆく三陸の海を眺めながら、赤ワインと共にオードブルを・・・。
鉄道旅のいいところは、何と言っても、「お酒が呑めること」。
景色を楽しむだけならマイカーでも出来ますが、食べて飲んで景色を楽しめるのは鉄道ならでは。
2本のレールによってガッチリ支えられているので、揺れも少なめなのが有難い。
だからこそ、「食」をテーマにした観光列車がたくさん走っているんだと思います。
復路の「東北エモーション」は種差海岸、鮫の2駅にも停車し、ドアが開きます。
特に鮫では、列車行き違いで5分の停車時間が設けられており、ホームに降りることも可能。
昼11時からほぼ“乗り鉄”状態の身には、旅の〆を前にちょうどいい気分転換となります。
今回、都合2日をかけて、往復のランチとデザートに加え、外から列車を見ることも楽しんだ「東北エモーション」のフルコース旅。
すっかりお腹いっぱいですが、早くもまた行ってみたい気持ちがウズウズし始めています。
本格的な春が始まった北東北で、動く列車の中で味わう美味しい料理と、地元の方の温かいもてなしに、思い切り心を満たされてみませんか?
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/