嘉例川駅「筍」(600円)~あの嘉例川駅弁の“ミニ”!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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特急「はやとの風」

特急「はやとの風」

キハ47形気動車を改造して生まれた肥薩線のD&S列車、特急「はやとの風」。
鹿児島中央9:26発の「はやとの風2号」の場合、嘉例川で10:22~30の8分、霧島温泉で10:36~41の5分、大隅横川で10:48~54の6分という停車時間があります。
JR九州のD&S列車をはじめ、観光列車における“長めの停車時間”は、積極的に列車から降りて写真を撮ったり、ホームや駅をブラブラするのが、楽しみ方の基本です。

肥薩線・大隅横川駅

肥薩線・大隅横川駅

大隅横川(おおすみ・よこがわ)駅も、嘉例川駅と並んで鹿児島県内では最古となる駅舎。
コチラももちろん“築100年以上”の木造駅舎です。
ちなみに駅名の前に「旧国名」が付く駅は、同じ名前の駅がほかの地域にあるということ。
横川(よこかわ)駅は、群馬県の信越本線にあり、駅弁「峠の釜めし」で有名ですね。
横川(よこがわ)駅は、広島県の山陽本線にあり、可部線が分岐する駅として知られています。

肥薩線・大隅横川駅

肥薩線・大隅横川駅

国の登録有形文化財となっている大隅横川駅の木造駅舎。
この駅の特徴は、何と言っても、駅舎に戦争遺構があること。
駅舎からホームに張りだされた屋根の支柱に、第二次世界大戦末期、昭和20(1945)年7月の空襲で出来たといわれる「機銃掃射の痕」があります。
同じような機銃掃射の痕は、東京ですと、中央本線・高尾駅の1番線にも残っていますよね。

筍

さて、「はやとの風」に乗ったら、ぜひ食べておきたい嘉例川駅の駅弁ですが、途中の停車時間にホームに降りたりしていると、意外に“食べる時間が無い”というのが切実な悩みです。
「はやとの風2号」ですと、嘉例川を10;:30に出て、終点・吉松には11:11着ですので、落ち着いて食べられる時間は30分あるかどうか・・・といったところ。
そんなお悩みに応えるべく「森の弁当 やまだ屋」から登場している駅弁が、「筍」(600円)です。

筍

簡素な掛け紙を外し、蓋を開けると現れたのは、筍ごはんのおにぎり!
これにガネ、嘉例川コロッケや玉子焼きなどが入った、昨今トレンドの軽食系の駅弁です。
それでいて、デザートの「けせん団子」まで入っているのが有難いところ。
つまり「百年の旅物語 かれい川」と「花の待つ駅 かれい川」のいいトコどりをしながら、短い乗車時間に合わせて少量に抑えた、嘉例川駅弁の“ミニ”タイプという訳なんですね。

筍

「百年の・・・」でおなじみの筍ごはんですが、よく目を凝らすと“おこげ”が!
これぞ、手作りの証左!!
いいトコ取りのミニ駅弁でも、一切、手抜きはありません。
今まで『嘉例川の駅弁を食べてみたいけど、量が多そう・・・』と見送っていた方も少なくないハズ。
600円でこの駅弁なら、霧島温泉郷や妙見温泉などに泊まった後でも、軽~く入りそうですね。

九州駅弁グランプリ

「森の弁当 やまだ屋」の山田まゆみさんとJR九州・青柳社長
(2017年2月、JR九州本社・九州駅弁グランプリ決勝大会にて)

「筍」は、今年2月の「第12回九州駅弁グランプリ」の決勝大会で、見事3位に入賞した駅弁です。
コチラの販売は、土・休日の嘉例川駅における朝10:30頃からの駅売りのみ。
入賞直後はメディアに取り上げられたこともあり、多めに調製したこともあったそうですが、現在は1日20個+αの調製とのこと。(前回紹介の「花の待つ駅・・・」は10個+α)
なお、週末の嘉例川11:58着の「はやとの風1号」に乗車する予定で、1~2個の少数であれば、事前に電話をいただければ取り置きも可能だということです。

ちなみに、肥薩線・嘉例川駅は、鹿児島空港の最寄り駅でもあります。
空港に降り立った人は、大抵そのままリムジンバス・・・かと思いますが、実はそれが勿体ない!
空港の足元にこそ、100年以上の歴史を紡ぐ木造駅舎と、九州トップクラスの駅弁があることを、旅好きの常識として押さえておきたいものです。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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