西都城駅「かしわめし」(760円)~都城のソウルフード駅弁!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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きりしま

783系・特急「きりしま」

JRグループ初の特急形車両として華々しくデビューしたのがJR九州の783系電車。
昭和63(1988)年、「ハイパーサルーン」の愛称と共に博多~西鹿児島間の特急「有明」を中心に活躍し、JR九州の“スタートダッシュ”に大きく貢献した車両です。
現在は、同じく元「有明」の787系電車と一緒に、日豊本線大分以南を走る特急「にちりん」「ひゅうが」などで活躍、「きりしま」として西鹿児島改め、鹿児島中央駅にも顔を出します。

きりしま

きりしま

783系電車の斬新だった点は、何と言っても、車両中央部にデッキを設けたこと。
当時は特急の短編成化が進み、半室グリーン車や、半室のみ禁煙などが多く見られました。
そこで予め、1両をA室・B室に分け、需要に合わせてきめ細かく使えるようにした訳ですね。
また運転席背後の席は、グリーン車のみならず普通車の場合でもハイデッカー構造となっており、今乗っても、窓も大きく前面展望が楽しめる“特等席”となっています。

かしわめし

かしわめし

JR九州の原点ともいえる783系電車ですが、今週ご紹介している西都城駅弁「せとやま弁当」の原点ともいえるのが、「かしわめし」(760円)です。
昭和30(1955)年の発売で、既に60年以上の歴史を誇る西都城の看板駅弁!
昔ながらの経木の折詰が、オレンジの大きな掛け紙に包まれ、輪ゴム留めされています。
都城へ来たら、このオレンジの掛け紙を見ないことには始まりません。

かしわめし

かしわめし

大きな掛け紙を外すと、鶏の炊き込みご飯のイイ匂いと共に、肉厚な鶏のむね肉が5枚登場!
九州では鶏めしを「かしわめし」と呼ぶのは一般的ですが、北九州エリアでは鶏肉が細かく刻まれたものが多い中、西都城のかしわめしは、この大きなむね肉が特徴です。

鶏めし駅弁って“そぼろ”っぽい盛り付けで見た目を良く出来ますし、それでも美味しいんですが、そぼろ無し、肉のみで勝負している駅弁屋さんは数えるほどなんですよね。
肉と味付けへの自信の表れ・・・この潔い感じが私は好きです。

かしわめし

かしわめし

「せとやま弁当」の小坂さん曰く、『地元に愛されてこその駅弁』!
実際、都城で人の集まりを開く時、ご飯が「かしわめし」と判っていると出席率がイイんだそうです。
首都圏では、よく横浜の皆さんが運動会などの集まりなどで、崎陽軒の「シウマイ弁当」を買っていったりしますよね。
都城でちょうど“あのポジション”に入っているのが、せとやま弁当の駅弁「かしわめし」!
駅弁屋さんの規模は違いますが、地元に愛されているという点は、大きな共通点です。
私自身、昼時にお店にお邪魔すると、地元の方がまとめて買っていく様子をよく見かけます。

都城のソウルフード、せとやま弁当の「かしわめし」。
南九州の鉄道旅では欠かせない、地元の食文化を体感できる駅弁です。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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