“日本最強”の国鉄形電車を決めるとしたら、“三電気方式”の415系電車かもしれません。
直流、交流、50ヘルツ、60ヘルツ、日本の電化区間なら、原則どこでも走れる電車だからです。
その415系電車が最も活躍しているのが、山陽本線・下関~門司間。
関門トンネルを出たところに直流・交流の切替地点(デッドセクション)があるため、この区間を走る旅客列車は、全て415系電車で運行されています。
昭和17(1942)年に開通し、75年の節目を迎えている世界初の鉄道海底トンネル「関門トンネル」。
本州~九州の寝台特急が無くなってしまったこともあり、現在は毎時3~4本の普通列車と貨物列車が中心ですが、今も本州と九州を結ぶ重要な結節点。
下関も北九州都市圏の一部となっており、駅自体はJR西日本の管理ですが、交通系ICカードは、JR九州の「SUGOCA」エリアとなっているのが特徴です。
関門海峡を越え、九州に入ると食べたくなってくるのが・・・ご当地の名物「明太子」!
そこで今回は、小倉を拠点に駅弁を製造販売している「北九州駅弁当」の駅弁の中から、「辛子明太子弁当」(1,030円)をご紹介しましょう。
調製元は、「北九州駅弁当」の博多工房。
ココは「北九州駅弁当」の博多における製造拠点で、主に博多駅向けの駅弁を作っています。
この駅弁は、JR西日本系の店舗向けに作られていて、小倉駅では山陽新幹線改札内の売店、博多駅では新幹線改札内の「駅弁屋たい!」などで販売、山陽新幹線の車販でも取扱があります。
包装を開けると、白いご飯と、センターの赤い「辛子明太子」のコントラストがいい雰囲気。
しかも、「博多鳴海屋(なるみや)」の辛子明太子がまるごと一本、カットされて入っています。
おかずには、鯖のみりん焼き、黒豚生姜焼が入り、玉子焼は明太青のり入り。
れんこん、人参、ごぼう、蒟蒻などの煮物に加え、香の物は九州らしく辛子高菜。
容器の半分を占める白飯ですが、この明太子に高菜があれば足りなくなっちゃうかも!?
白いご飯が進んで進んでしょうがない辛子明太子!
「博多鳴海屋」の創業は、昭和3(1928)年で、当時は米穀商でした。
しかし戦中、米が配給制になったことで、食料品全般の卸問屋に進出していきます。
その中で戦後、昭和43(1968)年に、九州の地酒や厳選した唐辛子などを使い、満を持して完成させたのがこの「辛子明太子」だそうで、老舗百貨店・岩田屋が最初に扱った明太子だといいます。
なお、鉄道にあまり詳しくない方のために補足しておくと、九州内でも山陽新幹線(小倉~博多間)はJR西日本の管轄、並行する在来線(鹿児島本線)はJR九州の管轄となっています。
このため、小倉・博多の両駅は、駅長さんが2人いることでも有名。
駅弁売場も、小倉駅・博多駅では西日本と九州、それぞれの売り場があって、当然ながら、取り扱っている駅弁のラインナップも違います。
特に博多の新幹線改札内は、中央改札を入って左手にJR西日本系の「駅弁屋たい!」、右手にJR九州系の「驛弁当」があって、どっちの売店も種類豊富!
駅弁の選び甲斐がある駅という訳なんですね。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/