「駅弁膝栗毛」、1カ月ぶりの瀬戸内です。
久しぶりに山陽本線・広島駅を訪れると、車両の世代交代が一気に進んでいてビックリ!
山陽本線をはじめ普通列車の多くが、平成27(2015)年デビューの227系電車になっていました。
227系は、JRになってから初めて広島地区に投入された新型車両。
カープの優勝以上に、待ちに待った広島の新車なのです。
227系電車は、広島らしく赤いカラーリングが印象的で、基本は2~3両の短編成。
ラッシュ時はこの短い編成を繋ぎ合わせて運行するため、先頭車にも設置されている転落防止幌を羽に見立て、「Red Wing(レッドウィング)」の愛称で親しまれています。
特に週末は、快速「シティライナー」が30分おきに運行され、宮島・岩国へのアクセスにも活躍。
格段に静かになった転換クロスシートが並ぶ車内は、瀬戸内の静かな海によくマッチしています。
新しい赤い電車に似合うような、新しくて赤い駅弁を探していたら・・・ありました!
“広島サーモン”なる新食材を使った駅弁「広島サーモンわっぱ飯」(1,100円)を発見!
包装は黄色いですが、中味はサーモンですから「赤」ですよね。
しかも「広島サーモン」自体も、227系電車と同じ、平成27(2015)年春に販売開始された食材。
駅弁としても、その年の夏ごろに登場しました。
調製は広島・山口の駅弁を手がける「広島駅弁当」が手がけています。
黄色い包装とわっぱの上蓋を外すと、サーモンとイクラの醤油漬が現れました。
瀬戸内の魚介駅弁といえば、穴子や鯛が定番だっただけに、これは今までになかった駅弁!
実は「広島サーモン」、れっきとした広島県産の食材なんです。
いわゆるニジマスを、稚魚の段階では水のきれいな廿日市市の万古渓(ばんこけい)で、その後、瀬戸内の大崎上島周辺に移して、大きくなるまで育てているんですね。
帯にもしっかり「広島サーモン」のロゴが入っています。
味は濃すぎず、脂も強すぎず、いい意味のほどほど感が嬉しい「広島サーモン」。
養殖の魚というと濃厚な味の印象がありますが、これはサッパリした味わいが特徴です。
餌に広島特産のレモンが入れることで臭みを無くし、爽やか感をよりUPさせているそう。
それゆえに駅弁の包装が“黄色い”レモン色だったんですね!
駅弁というと、どうしても定番食材に頼ってしまいやすい中で、果敢に新しい食材にチャレンジしている「広島駅弁当」の姿勢も興味深いもの。
果たして「広島サーモン」は、広島の新名物となれるか?
まずは、この駅弁を手に取るところから始めてみてはいかがでしょうか。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/