西都城駅「幸せ上々、みやこのじょう弁当」(1,080円)トップに輝き進化中の九州イチ駅弁!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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787系・特急「きりしま」

787系・特急「きりしま」

鹿児島から特急「きりしま」でおよそ1時間20分、宮崎県都城市の西都城駅にやって来ました。
「きりしま」は、およそ2時間に1本の間隔で、10往復あまりが運行される日豊本線の特急列車。
主力となる4両の787系電車は、元々、鹿児島本線の特急「有明」などで活躍した車両です。
新幹線開業後、大分に移って国鉄形485系を置換え、今は鹿児島~宮崎間の「きりしま」のほか、「にちりん」「ひゅうが」など、東九州を中心に活躍を続けています。

西都城駅前・せとやま弁当

西都城駅前・せとやま弁当

鹿児島と宮崎の中間都市では、最も人口が多い「都城市」。
市の代表駅・都城の1つ隣、西都城駅は、宮崎方面からの普通列車が折り返す駅。
その西都城の駅前にお店を構えるのが、駅弁を手がける「せとやま弁当」です。
西都城からは昔、志布志線が接続していましたが、国鉄末期に廃止されてしまいました。
みどりの窓口、接続路線も無いのに、駅弁があるのは、ターミナル駅の名残りともいえます。
(せとやま弁当)

せとやま弁当・小坂恭子代表取締役

せとやま弁当・小坂恭子代表取締役

西都城駅弁「せとやま弁当」は、今年(2017年)3月、「第12回・九州駅弁グランプリ」にエントリーした新作、「幸せ上々、みやこのじょう弁当」(1080円)が見事、決勝大会でグランプリに輝きました。
決勝大会の様子は、「3月の駅弁膝栗毛」でもお伝えしましたが、4月に西都城駅前のお店に伺うと、さっそく店頭にはグランプリのトロフィーが飾られていました。
「せとやま弁当」の小坂恭子代表取締役も、ニッコリ笑顔で、今回の受賞はとても嬉しい様子!
(3月の駅弁膝栗毛)

幸せ上々、みやこのじょう弁当

幸せ上々、みやこのじょう弁当

掛け紙には、早くも『第12回JR九州駅弁グランプリ優勝!!』の文字が躍ります。
そもそも「幸せ上々、みやこのじょう」は、「都城市」のキャッチフレーズで、市長さんに直談判して、使わせてもらったというエピソードは、以前もお伝えました。
センターの「都城」のロゴも、市の公式HPで使われているものと同じものなんですね。
駅弁を試食した都城市長さんも、「とても美味しかった!」と太鼓判だそうです。
(都城市)

幸せ上々、みやこのじょう弁当

幸せ上々、みやこのじょう弁当

駅弁のテーマは、「日本一の肉と焼酎の街・都城」。
地元産の焼酎で炊かれた発芽十八穀米の上に、日本を代表する畜産の街らしく牛肉・豚肉・鶏肉の3つの肉が贅沢にそろい踏み、それでいて「1000円+税」というなんとも有難い駅弁です!
牛肉は南国焼と角煮、豚肉は塩麹焼、鶏肉は豆腐ハンバーグに練り込まれています。
焼酎のアルコールは熱で飛んでしまい、十八穀米には芳醇な香りとまろやかさだけが残ります。

幸せ上々、みやこのじょう弁当

幸せ上々、みやこのじょう弁当

今回、小坂代表取締役に話を伺ってビックリしたのは、『牛肉が地元産になった』ということ!
駅弁グランプリの際は、コスト面から牛肉は国産のものを使っていたのですが、受賞を受け、新たなルートを開拓、牛肉の南国焼が「宮崎牛」のA4にバージョンアップしていたのです。
グランプリ受賞で満足せずに、さらに磨きをかけて美味しいものに・・・という姿勢が素晴らしい!
ちなみに「南国焼」とは、タレの隠し味に宮崎らしく「マンゴー」を使っていることに因んだもの。
やわらかい牛肉を噛みしめると、鼻に軽く抜けるフルーティーな香りがとても心地イイのです。

幸せ上々、みやこのじょう弁当

幸せ上々、みやこのじょう弁当

さらにバージョンアップしていたのが、都城産鶏肉を使った「豆腐ハンバーグ」!
駅弁グランプリの際は味噌焼でしたが、実は納得がいっておらず、グランプリから帰ってきた後も試行錯誤を続けて、より食感のいい“きのこあんかけ”となりました。
確かにこのほうが口の中がしっとりして、肉三昧の中で、オアシス的な存在になるんですよね。

「あまり自信は無かっただけにグランプリを受賞出来て本当にびっくりした」とは小坂代表取締役。
しかし、グランプリの称号に安住せず、さらなる高みを目指そうとする「せとやま弁当」の駅弁は、食べた者を一層、「上級の幸せ」に誘ってくれるはず・・・。
「幸せ」は都会で待っていてもやって来るものではなく、自分でつかみに行くもの。
最近、幸せが足りてないなぁと感じているのなら、まずは都城へ足を運んで、地元産の肉がたっぷり使われた九州イチの駅弁を味わって、ハピネスチャージしてみてはいかがでしょうか?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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