上野駅「上野弁当」(1,050円)~「ひよっこ」気分で味わえる!茨城からの上京駅弁【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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E657系・特急「ひたち」

E657系・特急「ひたち」

東京の北の玄関といわれた上野駅。
しかし、上野東京ラインの開業で東京以南へ直通する列車が増え、今、上野の低いホームを発着する特急は、朝夕の常磐線「ひたち」「ときわ」が中心です。
現在の「ひたち」「ときわ」は、E657系電車10両編成に統一。
この常磐線特急、歴史的には“ボンネット特急”の歴史でもあるように思います。

651系・特急「スーパーひたち」

651系・特急「スーパーひたち」(2013年撮影)

先代の常磐線特急といえば、“タキシードボディ”のキャッチフレーズと共に、平成元(1989)年に「スーパーひたち」として颯爽と登場した651系電車。
上野~仙台間を常磐線回りで結ぶ列車もあり、4時間15分ほどの鉄道旅が楽しめたものです。
現在もかつてほどの頻度ではありませんが、高崎線特急「草津」「スワローあかぎ」として、上野駅の地平ホームに姿を現します。

489系電車

489系電車(2008年撮影)

651系が登場するまで、常磐線特急の主力だったのが485系電車です。
特に「ひたち」では、ボンネットタイプの先頭車が多く活躍しました。
大宮の鉄道博物館で展示されている485系電車も、かつては「ひたち」として走っていた車両。
ただ、ボンネットの「ひたち」の記録は、残念ながら私の手元になし・・・。
イメージ画像は、上野に最後まで残ったボンネット型、489系電車・急行「能登」です。

キハ80系81形気動車

キハ80系81形気動車(2006年撮影)

「ひたち」が電車になる前に活躍していたのは“ブルドッグ”と呼ばれたキハ80系81形気動車。
この80系81形気動車がデビューしたのは、上野~青森間の特急「はつかり」でした。
「はつかり」は日本初の気動車特急で、昭和43(1968)年まで常磐線回りで運行されていました。
思えば、かつての東北夜行の主力、寝台特急「ゆうづる」も常磐線回り。
その意味では、東北から常磐線回りで上野に着いたという方は、かなり多いのかもしれません。

上野弁当

上野弁当

そんな上野の懐かしい雰囲気を駅弁という形で長年表現してきたのが、上野限定駅弁「おふくろの味 上野弁当」でした。
この駅弁が6/23から、装いも新たに「上野弁当」(1,050円)としてリニューアル。
特に最初の1週間は、東北新幹線開業35周年記念として、昭和57(1982)年から上野開業まで3年間、上野~大宮間で運転された「新幹線リレー号」が描かれた掛け紙で販売されました。
(7/1からは通常版となっています)

上野弁当

上野弁当

今回のリニューアルでは、中身もさることながら、大きく変わったのが調製元。
水戸駅弁の「しまだフーズ」が、「上野弁当」を手掛けるようになりました。
これに伴って、茨城と東京を「食材で結ぶ」駅弁へと生まれ変わっています。
納豆春巻き(水戸)、レンコンのたまり漬け(土浦)など、常磐線沿線の食材で旅気分を演出しているのがイイですね!

【お品書き】
・茨城県産コシヒカリ
・老舗 上野の海苔
・大洗吉田屋の梅
・鮭
・蕪の漬物
・煮物(里芋、こんにゃく、花人参、スナップエンドウ)
・レンコンのたまり漬け
・つくば鶏幽庵焼き
・納豆の春巻き
・椎茸の肉詰め揚げ
・玉子焼き
・花小丸
・常陸牛しぐれ煮
・ごぼう将軍

上野弁当

上野弁当

白飯の上に、たぶん駅弁最大級の梅干しがドーンと載って、茨城らしさを強力アピール!
梅干しを手掛ける大洗の「吉田屋」は、江戸時代の天保年間から続く歴史ある漬物屋さん。
肉厚な梅干しと茨城県産コシヒカリとの相性がよく、焼海苔の風味と相まって、焼鮭と一緒にいただいていたら、思わずおかずを食べ忘れてしまいそうなくらいです。
茨城の豊かな食材が、東京で忘れかけていた“豊かな心”を育んでくれること間違いなしです。

水郡線・キハE130系

水郡線・キハE130系

朝ドラ「ひよっこ」の中で、主人公・みね子が茨城県産の食材を見て笑顔になるシーンが描かれていましたが、こんな駅弁が当時あったら、手にした瞬間から笑顔が弾けていたこと間違いなし!
昔、常磐線回りで上京したという方は、当時の記憶に思いを馳せながら、朝ドラを見ている方は、茨城の長閑な農村風景を思い浮かべながら、茨城から毎日上京してくる、リニューアル1週間あまりの“ひよっこ”駅弁をいただいてみてはいかがでしょうか?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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