新富士駅「セレ豚中華弁当」(1,080円)~駅弁求めて14km!JR東海さわやかウォーキング②富士運輸区編【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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新富士駅「セレ豚中華弁当」(1,080円)~駅弁求めて14km!JR東海さわやかウォーキング②富士運輸区編【ライター望月の駅弁膝栗毛】

373系特急形電車、「ふじかわ」特別ヘッドマーク

5/27(土)に行われたJR東海・さわやかウォーキング「~ありがとうJR東海発足30周年記念~富士のふもとの大博覧会と鉄道のお仕事紹介」。
JR富士駅を起点に静岡県富士市内を歩いて、新富士駅の駅弁屋さん「富陽軒」本社、JR東海富士運輸区を経由して、富士駅に戻るコースが設定されました。
駅弁屋さんと列車の車庫を目指して歩く、およそ14kmにわたるリアル”駅弁膝栗毛”です。

新富士駅「セレ豚中華弁当」(1,080円)~駅弁求めて14km!JR東海さわやかウォーキング②富士運輸区編【ライター望月の駅弁膝栗毛】

富士運輸区

前回ご紹介の「富陽軒」本社から歩いて数分、やってきたのはJR東海「富士運輸区」。
普段は一般の人の立ち入りが出来ない場所ですが、今回はJR30周年記念ということで「さわやかウォーキング」の参加者だけに特別公開されました。
参加者には、JR線のきっぷをモチーフにした乗務員さん手作りの“入構証”と、富陽軒で限定販売された「いなりずし」の掛け紙と同じ柄のバッジがプレゼントされました。

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富士運輸区

建物にもウォーキング参加者を歓迎する横断幕が掲げられていました。
富士運輸区は身延線(富士~甲府間)をはじめ、東海道本線(島田~熱海間)の列車を担当する乗務員さんたちの職場。
静岡地区の車両はほぼ「静岡車両区(静シス)」所属ですが、身延線や東海道本線の富士発着の車両は、この富士運輸区にある電留線にちょくちょくやってきます。

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富士運輸区

この日はウォーキング参加者向けに、昔の列車のヘッドマークも展示。
真ん中の急行「富士川」は、今の特急「ふじかわ」の前身。
上の「富士高原」は、昭和40年代に御殿場線を走った臨時列車のようです。
下の「奥大井」は、静岡~千頭間で運行された大井川鉄道(現・大井川鐵道)直通列車でした。
こんなヘッドマークが掲げられていたのは?

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80系時代の準急「富士川」(富士駅の展示にて)

元祖“湘南形”、2枚窓の80系電車でした。
この日は富士駅でも特別展示が行われており、準急「富士川」運行開始当時の貴重な写真などを見ることが出来ました。
身延線の優等列車は、昭和39(1964)年に80系電車の準急として始まり、2年後、急行に昇格。
昭和47(1972)年、165系電車が投入され5往復に増強、一部は三島発着で運行されました。
平成7(1995)年の373系電車デビューに合わせて、急行から特急に格上げ。
この時に漢字表記の「富士川」から、ひらがな表記の「ふじかわ」に改められました。

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富士運輸区

運輸区の仮設テント内では、運転士さんや車掌さんの仕事の一コマが紹介されていました。
制服をキチッと着用し、背筋をピンと伸ばして、ホームを颯爽と歩くJRの乗務員さん。
駅でもしばしば見かける光景ですが、富士運輸区の乗務員さんが持ち歩いているスーツケースは、重さがおよそ「8kg」もあるんです。
特に身延線の普通列車は車掌さんのいないワンマン運転が基本、ご苦労も多いでしょうね。

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富士運輸区

面白かったのが、乗務員さんが実際に使っている「起床装置」。
実際に伺って驚いたのが、コレで起きるのは“最終手段”という位置づけなんだそう・・・。
通常の乗務では、これが稼働する前に目覚ましが何度も鳴るため、起床装置が稼働することは、まず無いというんですね。
定時運行を常とする、鉄道マンの矜持のようなものを感じます。

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富士運輸区

もちろん、私も実際に体感!
時間が来ると、ベットの下に空気が入って、自然と体が起こされるという仕組みです。

思えば、私が昔、使っていた身延線・芝川駅にも長年、乗務員宿泊施設がありました。
私が小学生の頃は大体23:10ごろ、ニッポン放送ですと、“ヤンパラのドカンクイズ”をやっている頃に最終列車の芝川行が下っていたので、その乗務員さんが使っていたんでしょうね。
ラジオが1日中かかっている家の横を線路が走っていると、ラジオのコーナーと列車ダイヤが
一緒になって、時計代わりになっちゃうんです。
朝は全国ニュース(世直し研究所)が終わって、下り列車が行ったら「登校しないとマズい」とか。

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富士運輸区にて

富士運輸区の乗務員さんと一緒に、制服を着用して、373系「ふじかわ」と共にパチリ。
身延線の乗務で大変なのは、芝川以北の山間部を中心に、野生の『鹿が出てくること』だそう。
確かに、列車の遅れの理由にもしばしば「列車が鹿と衝撃・・・」という文字を見ることがあります。
JR東海エリアでは、紀勢本線や高山本線で運用される気動車などに鹿対策の衝撃緩和装置を取り付けた車両がありますが、こればかりは予測が難しく、緊張の乗務が続くことでしょう。

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セレ豚中華弁当

駅弁屋さんと列車の車庫を目指すという、なかなか斬新なウォーキングイベント。
立ち寄りポイントとなった「富陽軒」でも、5/1から新しい駅弁を登場させていました。
その名も、「セレ豚(ブー)中華弁当」(1,080円)!
中国を代表する品種で、現在は希少となっている「満州豚」と、日本の原種豚の良いところを受け継いだというご当地ブランド豚「富士のセレ豚(ブー)」を使った駅弁です。

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セレ豚中華弁当

【お品書き】
・富士のセレ豚中華三昧
(手包みシュウマイ・特製チャーシュー・彩り酢豚)
・メンマ風たけのこ炒め
・玉子焼
・ご飯

静岡エリアでは珍しい本格中華駅弁です。
富陽軒ではかつても中華風駅弁を出していましたので、久しぶりの復活ともいえましょう。
手作り感ある大きめのシュウマイに肉厚チャーシュー、食欲そそるいい香りの酢豚。
ご当地のレアなブランド豚を3つの味で楽しむことが出来ます。

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セレ豚中華弁当

富士山麓でじっくり育てられ、「しずおかの食セレクション」にも認定されている「富士のセレ豚」。
見た目のボリュームはありますが、脂の口どけがいいからか、脂のこってり感が少なく、体にスッと入って、とても心地よく豚肉を食べられます。
実は一般的な豚肉と比べ、脂肪の融点が30℃と低く、体内でもよく溶けるのだとか。
加えてビタミンB1が豊富で、豊富な栄養とヘルシーさを両立させているのも特筆すべき点です。
(参考:静岡県富士農林事務所Facebook)

出荷数の少ない希少なブランド豚ということもあり、新富士駅限定、数量限定の駅弁。
予約などは、1週間前までとなっています。
地元でも貴重な豚、駅弁として出逢えたら“セレブ気分”、間違いなしかも!?

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313系電車、身延線・西富士宮~沼久保間

静岡~山梨を結ぶ身延線を中心に、静岡地区の運行拠点の1つとなっている「富士運輸区」。
私は高校時代、沼久保駅から7:29発の普通列車沼津行(現・3622M富士行)を利用していましたが、駅に着くのがギリギリで、車掌さんが笛を吹いてから115系電車に駆け込むのが常でした。
正直、富士運輸区の車掌さんに何度、遅刻の危機を救っていただいたか・・・。
そして、高校の学食を担当されていたのが「富陽軒」。
14kmを歩き終えて、いつまでも地元の「足と味」を守ってほしいという思いを新たにしました。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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