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キハ261系・特急「スーパーとかち」
石勝線・新夕張駅にキハ261系の特急「スーパーとかち」が入ってきました。
最近はパープルのラインが入った新塗色のキハ261系が増加しています。
道東方面へ向かう特急は、「スーパーおおぞら」と「スーパーとかち」の2種類。
「スーパーおおぞら」は釧路行なのに対し、「スーパーとかち」は帯広止まりの列車です。
“とかち”は特に新夕張をはじめとした石勝線内の駅にもこまめに停車していきます。
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新夕張駅
新夕張駅の駅前は、屋根を付ける工事などが急ピッチで進行していました。
工事によって駅前にバス・タクシーなどが乗り入れられるようになって、新夕張駅での鉄道からの乗り換えの便が図られることになっています。
今月(2017年7月)にも完成の予定とのこと。
石勝線・夕張支線(新夕張~夕張間)の廃線を見越した動きとみられています。
(参考:JR北海道プレスリリース、平成29年6月14日)
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旧「紅葉山駅」駅名票
そんな工事が進む駅前の片隅にあったのが、「もみじやま」と書かれた駅名票。
石勝線が開通する前、夕張線時代は「紅葉山(もみじやま)」という駅名でした。
紅葉山からは、楓・登川の両駅へ向かう「登川支線」が出ていて石炭輸送で賑わっていましたが、炭鉱の閉鎖などが進んで、石勝線の開通を前に支線は廃線になってしまいました。
この代わりとして、石勝線には新たに「楓駅」が作られたものの、最後は平日に1日1往復のみの列車しか来ない駅となり、平成16(2004)年に廃駅(信号場に格下げ)となっています。
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石勝線・キハ40
石勝線は今のところ、南千歳から新夕張・夕張までは普通列車が走っていますが、新夕張から先、トマム・新得方面へは特急列車しか走っていません。
このため石勝線の新夕張~新得間を相互利用する分には、普通乗車券(含・青春18きっぷ)だけで特急の自由席に乗ることが出来る特例が設けられています。
なお、新夕張の隣駅・占冠(しむかっぷ)までは34.3kmあって、全国有数の“長い”駅間です。
(34.3kmは、東京~宮原(高崎線・大宮の1駅先)間に相当)
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ほっきめし
今回はちょうど東日本・北海道のアクティブシニア向けフリーきっぷの発売期間だったのですが、車販のない「スーパーおおぞら」などの移動で、食事に難儀されていた方を数多く見かけました。
前回も申し上げましたが、道東へ行くなら「南千歳」が最終食料補給ポイント!
ココで駅弁を買わないと、4時間の苦行が待ち受けています。
南千歳で買うなら、以前ご紹介した王子サーモンを使った「サーモン寿司」が好きですが、いつもどっちにしようか迷ってしまうのが、「ほっきめし」(1,050円)です。
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ほっきめし
「サーモン寿司」と同じ、苫小牧駅弁「まるい」が調製している「ほっきめし」。
以前は「ほっき」が産卵期に入る5~6月は禁漁期間で販売がありませんでしたが、現在、駅弁の「ほっきめし」は通年販売となっています。
実は苫小牧は「ほっき」が“市の貝”で、全国の「ほっき」のおよそ1割は苫小牧産なんだそう。
市内の一般家庭でもよく「ほっきめし」が作られてきた歴史があるのだそうです。
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ほっきめし
柔らかく煮込まれた肉厚なホッキの身2個分がしっかり入った駅弁です。
貝の出汁がしみ込んだ炊き込みご飯は、素材の味が活きたあっさりとした味わい。
このあっさり感が、長距離移動で疲れた体に心地よくしみ込んでいきます。
最近はとかく個性を主張したがる食事が多い中で、旅の疲れを優しく癒してくれる駅弁の存在は、さすが明治時代創業の老舗駅弁屋さんのなせる業。
地元の名産と旅人を思う心が、1つのわっぱにギュッと凝縮されている「ほっきめし」なのです。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/