【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東京から東海道・山陽新幹線「のぞみ」で、およそ3時間。
毎時50分・東京発の「のぞみ」号は、加古川の橋梁を渡ると、兵庫県播磨地方の中心都市・姫路(ひめじ)に停まります。
駅弁膝栗毛・名物企画「駅弁屋さんの厨房ですよ!」も、いよいよ第9弾!
今回は、姫路駅弁の「まねき食品」に伺います。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」初めての西日本エリア。
「駅弁膝栗毛」では、昨年(2017年)末に姫路駅の「えきそば」をご紹介しましたが、姫路駅の駅弁売場は、この「えきそば」のお店と一体化しています。
姫路で新幹線「のぞみ」と接続する在来線の特急、「スーパーはくと」「はまかぜ」が発車する山陽本線下りの7・8番のりばにも、キチンと駅弁売店があります。
「まねき食品」の本社は、姫路駅より少し大阪寄りの山陽新幹線・高架脇にあります。
これまで「駅弁膝栗毛」では、伊東「祇園」、小淵沢「丸政」、水戸「しまだフーズ」、出水「松栄軒」、長岡「池田屋」、米沢「新杵屋」、松阪「あら竹」、横浜「崎陽軒」の厨房(工場)の模様をレポートしてきましたが、「まねき食品」はこの中でも比較的大きい社屋。
訊けば、社屋の3・4階は「まねきホール」として、会食が出来るようになっているそうです。
朝9時過ぎ、入念な消毒をして調理場に伺うと、比較的ゆったりとした雰囲気。
そう、駅弁屋さんは大体どこでも、早朝が駅弁作りのピークですので、普通のお勤めの方が始業時間となる午前9時前後には、既にひと息・・・といったところなんですね。
「まねき食品」の調理場は、大きく3ゾーンに分かれています。
まずはその1つ、焼き魚や鶏肉の照焼きといった「焼き物」の調理場から・・・。
調理場のほぼ真ん中にある2つ目のゾーンは、「揚げ物」の調理場。
保存性が重要視される駅弁では、揚げ物は欠かすことが出来ないおかずです。
フライヤーでたっぷりの油を使い、流れ作業でカラッと揚げていきます。
最近の姫路駅には、「豚かつめし」といった駅弁も登場していますよね。
コチラのご紹介はまた後日・・・。
そして、3つ目のゾーンは、炊き物(煮物)の調理場。
だから、たくさんの大鍋がぎっしりと並んでいるんですね。
その一角で作業されている方の鍋をのぞかせてもらいますと・・・?
ちょうど、牛肉煮を作りはじめるところでした。
手作業で鍋に入れられているのは、ブランド牛の「但馬牛」。
但馬牛は元々、兵庫県但馬地方で耕作や輸送に使われていた牛にルーツを持ち、今は“和牛の最高峰”とも評される兵庫県産の黒毛和牛です。
「松阪牛」「神戸牛」「近江牛」といったブランド牛の素牛(もとうし)としても知られていますね。
この但馬牛を使って作られる駅弁といえば、おなじみ「但馬牛牛めし弁当」(1,150円)!
東京駅の「駅弁屋 祭」でも時々見かけますので、首都圏でもご存知の方が多いでしょう。
スリープ式の包装には、「但馬牛」の読み方も書かれています。
牛そのものは「たじまうし」、お肉としていただく時は「たじまぎゅう」になるとのこと。
牛めしになっていますので、包装は「TAJIMAGYU」というローマ字になっている訳ですね。
【お品書き】
・だし飯
・牛めしの具(但馬牛、玉ねぎ、舞茸ほか)
・蒟蒻金平
・金平牛蒡
・大根生酢
・漬物(沢庵・しば漬)
・しし唐素揚げ
牛肉の旨味と共にやさしい甘さが、心地よさを感じさせる「但馬牛牛めし弁当」。
その秘密は、何と言っても「淡路島産の玉ねぎ」です。
淡路島の玉ねぎは、火を通すと一般的な玉ねぎと比べて最大4%ほど甘みが多いのだそう。
なるほど、この甘さは“自然の甘さ”ゆえの、やさしい食感だったという訳なんですね。
そんな但馬牛と淡路島の玉ねぎという、兵庫が誇るブランド食材をたっぷり使って作られる「但馬牛牛めし弁当」の牛めしの具は「通販」でも購入可能。
姫路へ行くまで待ちきれないというアナタは、まずは自宅でお試しあれ!
さあ、まだまだ「まねき食品」の厨房・・・、のぞいていきますよ!
(参考:JA全農兵庫ホームページ)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/