姫路駅「味づくし」(1,050円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.9まねき食品編③)

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

223系 新快速 山陽本線 東姫路 御着

223系・新快速、山陽本線・東姫路~御着間

朝日を浴びて、兵庫県姫路市内を流れる市川を渡っていくJRの新快速。
京阪神地区を最高時速130kmという特急並みのスピードで駆け抜ける看板列車です。
日中は15分間隔、大阪~三ノ宮間は21分、大阪~京都間は29分で走破。
多くの席で進行方向に向かって座ることが出来るシートを備えたJR西日本の223系・225系電車によって最大12両編成で運行されています。

まねき食品

まねき食品

そんな新快速の西のターミナルとして多くの列車が発着する姫路駅で、駅弁を手掛けるのが明治21(1888)年創業の「まねき食品」。
姫路駅構内における駅弁・えきそばの販売はもちろん、姫路市内、兵庫県播磨地方をはじめ各地にお店を出しています。
姫路駅近くの本社には、社名を掲げた配送車がひっきりなしに出入りします。

まねき食品

まねき食品

シリーズ「駅弁屋さんの厨房ですよ!」の第9弾でお邪魔している「まねき食品」の駅弁を語る上で、やっぱり欠かすことが出来ないのが「幕の内弁当」!
「まねき食品」の幕の内弁当は、明治22(1889)年に発売された日本で初めてとされる「幕の内弁当の駅弁」なのです。
本社玄関にも、この“元祖幕の内”の資料が展示されています。

まねき食品

まねき食品

まねき食品

まねき食品

もちろん今も、姫路駅の「幕の内弁当」は健在!
調理場にある製造ラインには、幕の内弁当などに欠かすことのできない煮物や揚物などが、潤沢に用意されていました。
「まねき食品」では、普段から駅弁以外に仕出し料理や一般的な弁当も手掛けていますので、駅弁を製造した後は、仕出しや会食用の弁当などの製造が行われています。

まねき食品

まねき食品

一方で、もう次の日に販売する駅弁の掛け紙や包装が用意されていました。
コチラは炊飯担当の方が兼務する仕事なのだそう。
さあ、数々のおかずが折に詰められ、包装されて出来上がってきたのが・・・?

味づくし

味づくし

今の姫路駅の幕の内弁当「味づくし」(1,050円)!
およそ130年に発売された、最初の幕の内駅弁の系譜を今に伝えています。
姫路の駅弁らしく、ボックス型の包装には、国宝・姫路城が描かれています。
“ひめじのごちそうのおもてなし”というキャッチコピーが躍るように地元産食材をたっぷり使った“現代の幕の内”とは、一体どんなモノでしょうか?

味づくし

味づくし

【お品書き】
・白飯
・瀬戸内産真蛸のやわらか煮
・サゴシ西京焼
・鶏照焼
・甘海老唐揚げ
・播磨灘産いかなごの釘煮
・兵庫県産黒豆煮
・姫路蓮根の煮物(ほか南瓜、牛肉牛蒡)
・淡路島産玉葱焼
・大根生酢
・酢蓮根
・沢庵
・栗甘露煮

味づくし

味づくし

昔ながらの俵型のご飯はもちろん、おかずの種類が多くて嬉しくなります。
特にご飯のお供となるのが、関西らしい「いかなごの釘煮」!
実は幕の内こそ、焼魚・蒲鉾・玉子焼の「三種の神器」といった一定の縛りがある分、食べるほうも、ふたを開けてから「ご当地性を探す楽しみ」があるんですよね!
そして、瀬戸内産を使った蛸の煮物が秀逸!
実はこれにはちょっとしたワザがあるそうですので、詳しくは次回以降をお楽しみに!

最初の幕の内は、13種類のおかずが入った二重の折詰で12銭、現在の貨幣価値ですと、およそ1,600~1,700円程度になるといいます。
鉄道開業当時は「列車に乗ること自体」が、「ハレ」の日のこと。
そのハレの日を彩る食事として、最初の幕の内駅弁は生まれたというんですね。
ほぼ駅弁の歴史と同じ、およそ130年に渡る伝統の重みを思い浮かべることで、一層、味わい深い姫路駅の幕の内弁当です。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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