番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
きょうは、大学のチアリーディング部をたった一人で復活。全国大会に出場した野球部を応援するために、東京へ駆け付けた女子大生の、グッとストーリーです。
「野球応援 臨時チア急募!」…そんな手書きのボードを抱え、広島大学の学内でチラシをまくチアガールがいました。教育学部2年生の 松原美由(まつばら・みゆ)さん・21歳。
体育会応援団のチアリーディング部に所属する、唯一の部員です。松原さんは、入学したとき、部員不足で休部状態だったチア部に志願して入部。たった一人で復活させました。今月開幕した全日本大学野球選手権に、春のリーグ戦で優勝した広島大学は、35年ぶりに出場権を獲得。神宮球場と東京ドームを舞台に行われるこの大会。松原さんは「せっかくの機会。もっと華やかに応援したい」と臨時チアの募集を決め、チラシやツイッターで学内の女子学生たちに呼び掛けたのです。
香川県で生まれ、中学・高校ではダンスと並行して、吹奏楽部にも入っていた松原さん。「高校の吹奏楽部で、運動部の応援をしていたときから、チアに憧れていました。大学生活で何か爪あとを残したかったんです」。ところが、広島大学のチア部はずっと休部状態。そんなとき目にしたのが、応援団で紅一点、学ランに身を包み、応援を行う女子学生の姿でした。
「カッコいい! 私も一人だっていいから、チアになって応援しよう!」と思った松原さん。さっそく、応援団の団長を訪ね「チア部を復活させたいんですけど…」と、入部を志願しました。「正直、怖かったですけど、どうしてもやってみたかったんです」。見た目はこわもての団長でしたが、松原さんの申し出を快諾してくれました。
それから、学園祭やイベントでダンスを披露してきた松原さん。野球部の公式戦を中心に応援活動を行っていましたが、ただしスタンドでは、ブラスバンドがいないためダンスは披露できず、学ラン姿の応援団とともに声を張り上げるしかありませんでした。「いつかほかの大学のように、ブラバンの演奏で踊ってみたいと、ずっと思っていたんです」そんなときに決まった、野球部の全国大会出場。「35年ぶりの晴れ舞台。賑やかに応援してあげたい」と、臨時チアの募集を始めました。
学内でのチラシ配りや、ツイッターで呼び掛けた結果、なんとか5人の女子学生が応募。吹奏楽部からも有志が集まって、東京まで応援に駆け付けてくれることになり、松原さんは授業が終わった後、自ら少ない時間を割いて振り付けを考え、練習を重ねました。さらにコスチュームも新調。新たなチア服で、本番に臨むことに。抽選の結果、広島大学は大会初日の11日、第1試合に神宮球場で戦うことになりましたが、くしくも11日は、松原さんの21歳の誕生日でした。
「誕生日に神宮で踊れるなんて、夢みたい」と感激した松原さんでしたが……雨で試合は中止。翌日、東京ドームに順延となり、吹奏楽部と5人の臨時チアは授業などの関係で応援に参加できず、残念ながら広島へ帰ることになってしまったのです。結局、応援団の一部と松原さんが東京に残り、メガホンを使ったいつも通りのスタイルで声援を送ることになりました。ダンスは披露できなくても、「テレビで見ていた球場で応援できて、すごく楽しかったです」という松原さん。100人以上が駆けつけたスタンドで、応援団とともに笑顔で声援を送りました。
試合は、優勝候補の東北福祉大学を相手に、序盤から5点を奪われる苦しい展開に。広島大学もキャプテンがホームランを打つなど反撃しましたが、健闘むなしく、3対8で敗れてしまいました。試合後、相手チームの応援団と行うエール交換の際は、応援用の太鼓を力いっぱい叩いた松原さん。応援に駆け付けたスタンドのOBや関係者に「ありがとうございました」と頭を下げたとき、こらえきれず、つい涙があふれました。
「秋の神宮大会では、今回踊れなかった臨時チアの5人と一緒に、今度こそ踊って応援をしたいです! 野球部の皆さんに力を発揮してもらうためにも、もっともっとスタンドを盛り上げていきたいですね」
八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50
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